学科・教科ごとの目標 総合政策学部総合政策学科 高一種地理歴史
● 総合政策学部総合政策学科(高一種免(地理歴史))
教員養成に対する理念
総合政策学科が養成する教員は、高校(地理歴史)の学習指導要領に定められる内容や基準に準拠しつつ、総合政策学科が目標とする人材像に即した教員、すなわち多様化し複雑化した現代社会の諸問題について問題の所在と本質を的確に把握し、現実に可能な解決策を立案できるための幅広い視野、豊富な知識と実践力を身につけた教員である。
総合政策学科は、このような期待される教員像を目標に、より具体的には、文明論的視座に立って多様な価値観や異文化尊重を踏まえ、現代の地域社会固有の自然、歴史、文化、宗教などを正しく理解し、社会科学の基礎概念や分析手法を十分に駆使しながら、社会科教育に熱意をもって取り組むことのできる教員を養成しようと試みてきた。
高校(地理歴史)の教員は、社会一般ならびに各々の地域社会固有の地理、歴史、文化などに関する幅広い知識と、特定の社会問題に対してそれらの知識を駆使しながら、多角的視野から公正な判断を下しつつ諸問題の原因を考え抜くための事実に即した思考力や応用力を必要とする。総合政策学科の理念である、文明論の視野に立って社会問題の本質を見抜き、それらの諸問題の解決策を立案する能力の養成とは、まさに高等学校における社会科(地理歴史)の教員に求められる理念に直結し、かつその内容と符合するものである。総合政策学科こそ、社会科教員の養成に最もふさわしい理念を備えた学科であり、その共通の理念認識の下で、学科開設以来、これらの理念を具現化させた有能な教員を社会に送り出してきた。
設置の趣旨
総合政策学科は、地域の様々な要請に応えうる有能な教員を輩出する目的で教職課程を設置してきた。総合政策学科(定員330名)では、過去5年間に56名、年平均12名の教員免許取得者(地理歴史)を出してきた。この5年間の高等学校教員採用数は計4名と比較的少数に留まってはいるものの、免許取得者数は、ほぼ毎年10名前後で安定してきている。
総合政策学科のカリキュラム自体が、文明論を土台とした政策立案能力の養成を可能とする社会科学系の学科科目から構成されており、しかも環境政策、公共政策、国際政策と、社会科学の対象となり得る全領域に及ぶ科目群が用意されている。したがって、学科のカリキュラム構成そのものが、高校(地理歴史)の社会科教員を養成する際に必要となる教科に関する科目を十分に充足して余りある豊富な科目群から成り立っており、まさに社会科教員を目指そうとする学生にとってはきわめて有利なカリキュラムとなっていることは間違いない。その意味でも、文明論の視野に立って社会の諸問題を発見し解決策を提示できる人材を、社会科の教員という形で養成したいとの願いから、本学科に高校(地理歴史)の教職課程が設置されたことは、全く当然の経緯であったと言える。
総合政策学科のカリキュラム構成上の有利な特徴をさらに強化すべく、2005年度のカリキュラム改正では、学科の講義科目(地域文明論など)や演習科目(政策演習など)の数を約3割ほど増やしたため、いっそう教職免許取得に有利な科目構成が整えられた。2009年度以降は、本学独自の共通教育科目である「人間の尊厳科目」が、副題名称変更のため教職の教科に関する科目から外されたものの、それでも十分に多彩にして多数の科目を備えており、かえって科目区分間の科目数のアンバランスが補正される結果となった。このような、学科科目構成が社会科教員養成にとってきわめて有利な構成になっているという特徴を今後も十分に活かして、数多くの有能な社会科教員を養成し輩出することができることを願っている。