22907 人類文化学演習I
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4 |
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青柳 宏 |
他の科目との関連 | |
他学科履修 | 不可 |
副題 | 普遍文法と個別言語 |
講義内容 | ふだんはあまり意識しませんが、ことばにはいくつかの驚くべき事実があります。 (1)国籍、人種、IQの高低などに関係なく、ひとは誰でも生まれ育った環境で話されていることばを母国語として身に付ける。 (人類文化学科2年生のエリさん(以下、エリ):うちかてアメリカで生まれ育ってたら英語のネイティブになってたはずや。うちのおとんとおかんはなんで日本人やねん!うち、こんど生まれるときは、アメリカ人のパピーとマミーのこどもになりたいわ。) (2)ことばの習得は比較的短期間のうちに行われる。 (エリ:「炎チャレ」のこどものおつかいのコーナー見てたらわかるけど、難しいことばさえ使わへんかったら、4歳のこどもでもだいたい親がいうこと分かってるなあ。) (3)同じ言語社会であれば、個々人の生育環境は違っても、習得されることばは驚くほど均一である。 (エリ:小学校3年の時、札幌から転校してきたサトルくん、うちとはえらい違いで、親が重役のぼんぼんやったけど、うちとは不思議とウマが合うて、放課後教室でよう話ししたわ。いまごろどないしてはるやろ...) (4)ひとはことばについて教わらないことまで知っている。 (エリ:うちの両親は共働きのトウフ屋やから、朝から晩まで忙しゅうて、なあんも構もうてくれへんかったし、小学校の国語の時間は先生の話なんかぜんぜん聞かんといつもドラエモンの絵ばっかり描いとったけど、私ちゃんと日本語しゃべれるでぇ。) これらの事実を合理的に説明すれためには、われわれが「ことばの素」を持って生まれてくる(言い換えれば、ことばはヒトの遺伝子にプログラムされている)を考えざるをえません。この「ことばの素=生得的知識」は、ヒトという生物学的「種」に固有のもので、人種や国籍に左右されないため、普遍文法(Universal Grammar)と呼ばれます。 この考え方に立つと、日本語や英語といった個々のことばは−ちょうどヒトの血液型にA型、B型などの違いがあるように−それぞれ単に普遍文法の異なった表れにすぎません。ゆえに、どの言語もひとのことばである限り守らなければならない規則に従うはずですし、また、潜在的には誰もがどの言語の母国語話者にでもなれるという事実から見て、個別言語間の差異は見かけほど大きいはずがありません。 当ゼミでは、表面的には随分違って見える日本語や英語や中国語や韓国語といった個別言語の分析を通じて、どうすれば直接観察することのできない普遍文法の姿に迫れるのかを考えてゆきたいと思います。 |
講義計画 | 言語データの科学的分析の方法と生成文法の方法論の基礎を演習を通じて学ぶ。参加者にはたくさんの練習問題をこなしてもらい、またクラスでは積極的な発言が求められる。 |
評価方法 | 演習I、IIともに、ほぼ毎週練習問題の解答をsquib(2、3ページの小論文)として提出してもらう。その他の課題や授業中の発言などゼミへの貢献度を総合的に評価する。 |
テキスト | Jackendoff, R. 1993. Patterns in the Mind. Harvester Wheatsheaf. Tsujimura, N. 1996. An Introduction to Japanese Linguistics. Blackwell. その他プリント。 【そ の 他】 受講生は人類文化学科開講科目のみならず、日本文化学科、外国語学部英米学科開講の言語学関係科目を並行履修することが望ましい。 3月下旬〜4月上旬にゼミ・オリエンテーションを行うので、学科の掲示に注意すること。 |
その他 |