44566 ドイツ文学史A・B
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選 |
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春学期 秋学期 |
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2 |
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2〜4 |
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越智 和弘 |
他の科目との関連 | |
他学科履修 | 可 |
副題 | |
講義内容 | ドイツ文学はどうして退屈で面白くないと思われがちなのだろう。そこには、とりわけ第二次大戦以降、ドイツ的なものと真正面から向き合うとナチスの暴力性に結びつく危険な要素が顔を出してしまうことを恐れるあまり、ドイツ文化の無害な面ばかりに目を向け、それ以外をタブー視する傾向が作用したと思われる。こうした傾向は、ドイツのイメージを一時的に変えるのに貢献したが、それは戦後半世紀余りを経たいま、ドイツ文化の魅力を無臭化し退屈なものへと貶めてしまった、といわざるを得ない。 ドイツ文学史もじつは、他のヨーロッパ諸国の芸術史的展開とつねに歩調を合わせていたとみなすには無理がある。本講義においては、ドイツの文学が史上唯一西洋文化の最先端に踊り出たロマン主義の時代を頂点に据え、文学の歴史を、中世からロマン主義にいたる流れと、ロマン主義から現代にいたる流れに二分して捉えることで、真にドイツ的なものがもつ魅力と危険性を浮き彫りにする。 |
講義計画 | ドイツ文学史Aにおいては、ドイツ文学が、一般に素朴な文化への憬れから学ぶ対象となりにくくなった状況をまず見据える。そこから1)テロ暴力的要素、2)反ユダヤ的要素、3)国家宗教的要素といったナチスに結びつくドイツ的性格をとりだし、それらの文学的ルーツをナチス前夜から19世紀ロマン主義の時代へと歴史を遡りながらたどる。 ドイツ文学史Bにおいては、「忘れ去られた中世」、「空白のルネサンス・バロック」といった不毛の時代を経て、18世紀後半以降、ドイツ市民文学が突如として開花する過程を、一般文学史を踏まえつつも、それとは別の女子修道院から生まれた神秘主義、宗教改革から敬虔主義へという一貫した潮流から追うことで、ドイツ的なものとは何かを問う。 |
評価方法 | 講義中の参加態度、筆記試験、レポートなどの成績から総合的に評価する。 |
テキスト | テキストは特にないが、プリント資料などを順次配付する。 参考書 『ドイツ文学案内』(朝日出版社) 『ドイツとドイツ人』(岩波文庫) |
その他 |