南山大学

 
指定
選必
期間
秋学期
単位
年次
1〜4
担当者
江本 純
他の科目との関連
履修対象学科
副題 森と人と生物たち
講義内容  皆さんの想い出のなかに“大きな木”や“林”はありますか。私たちは便利な町に住んでいても、どこかで緑を求めています。実はこの緑、つまり“森”は人類や文明とたいへん密接な関係にあります。“森がなくなると文明が滅びる”といったら、あなたは信じますか。この授業は森にかかわるさまざまなそして身近な問題を、私たちの生活を通じて考え、どのような解決方法があるのか探っていくものです。
 南山大学のキャンパスは他の大学に比べますと緑が大変豊富です。これはできるだけ自然の景観を壊さないように配慮しながら設計がなされ、緑を残し育ててきたからです。しかし教室棟がさらに建設され、さまざまな施設が充実してくるにしたがい、景観はしだいに変わらざるを得ません。地球の緑も同じ運命をたどっています。それは人間の活動によるものです。人間の生活は森を切り開くことにより発展していきます。しかし同時に人間は森がないと生きていけないのです。
 まず、私たちが身近に森をどのように捉え、どのように森とかかわりながら生活しているかを考えます。そして、森林破壊が人間の生活により先史時代からどのように進んできたかをみてみましょう。森の破壊が人類にいかに大きな影響を与えているのかを思い知らされるでしょう。でもそれが人類の活動の本性だとしたら、私たちはもうひとつの新たな人類活動として“森との共存”を身近なものとして創っていかなくてはなりません。
 授業の最後に、人類に必要不可欠な森を考える象徴として、“南山のもり”を育てる方法を皆さんと共に探っていきます。
●基礎知識(授業の中で学習します)  ●日本列島の森の歴史
  日本列島の植生            氷期以降の森の変遷
  モンスーン              日本の森林植生
  花粉分析と絶対年代測定法       森林と縄文人の生活
●森と人々の生活             日本列島における森林破壊
  世界各地における森と人々     ●森と共に生きる
  日本の基層文化            森林とのつながり
●都市における森とのかかわり       都市環境としての緑
  古代文明の発祥と衰退
  世界の森林破壊
講義計画 I.日本列島の森の歴史
 1.授業内容の紹介:森を考える
 2.南山大学の緑と名古屋近郊の森林
 3.日本列島の森を概観する
 4.日本の東と西:東西のさまざまな違い
II.現実には存在しない過去を、どのようにして研究するのか
 5.古環境の復元と科学的方法
    過去とは何か
    現在の事物・事象から過去の情報をどのようにして取り出すのか
 6.絶対年代の推測と花粉分析
 7.日本列島の森林の歴史氷期以降の森の変遷
III.森と人々の世界
 8.ネパールの旅、ヨーロッパの旅
 9.日本の風土と人々−自然に生きる−
IV.森林破壊の過去と現在
 10.古代文明の発祥と衰退
 11.世界の森林破壊
V.日本における人と森とのかかわり
 12.縄文時代の人と森林のかかわり
 13.近代日本の森林の成り立ち
 14.都市環境としての緑を考える−森と共に生きる−
評価方法 筆記試験
テキスト
その他