南山大学

 
指定
選必
期間
春学期
単位
年次
1〜4
担当者
長滝 祥司
他の科目との関連
履修対象学科
副題 心と身体と世界について考える
授業概要  「人間とは何か」とは代表的な哲学の問いかけのひとつです。この問題に答えようとして、哲学史上でさまざまな議論が繰り広げられてきましたが、古来、人間を機械の一種として理解しようとする立場もあります。今日では、こうした理解を具体化しようとして、現代科学のなかで多くの研究が展開されています。たとえば、人間の心や思考をコンピュータで実現しようとする試み、人間のような機械を作り出そうとする試み、脳の研究を通じて人間の心を解明しようとする試み、人間の心や道徳までも進化論的な枠組みで説明しようとする試みなどがあります。これらの試みが成功したあかつきには、「人間は機械である」と言い切ることができるようになるかもしれません。この講義では、人間を機械と見なそうとするさまざまな試みの基礎にある哲学的な問題について理解を深め、それを通じて「人間とは何か」という問題に迫ってみたいと思います。
学修目標 さまざまな哲学的、認知科学的トピックに触れることで、人間や社会に関わる現代に特有の問題を論理的に考察する力を養うことを目標とします。
授業計画 1、はじめに
2、デカルトの認識論と心身問題
3、表象と実在──デカルトの二元論が残したもの
4、実在をどうあつかうか
5、表象なしでやれるのか──哲学から認知科学へ
6、コンピュータは心をもつのか1──『ブレードランナー』とチューリングテスト
7、コンピュータは心をもつのか2──中国語の部屋
8、ロボットが他者になるとき──『甲殻機動隊』の一話より
9、他者と心の帰属──心の理論
10、身体の機械化の果てにあるもの──『ゴースト・イン・ザ・シェル』と人格の同一性
11、心と脳の同一性をめぐって
12、水槽のなかの脳と『マトリックス』の世界
13、クオリアとは何か
評価方法 平常点と論述形式の学年末テストによって評価します。

【参考文献】長滝祥司編『現象学と二十一世紀の知』ナカニシヤ出版
テキスト
その他  講義内容の理解度をはかるために、講義の終わりにときどき用紙を配布しそれに質問を記入してもらいます。次回の講義の際に、その質問にたいする回答をおこないます。また、それらの質問内容を評価し、平常点とします。