南山大学

 
指定
選必
期間
春学期
秋学期
単位
年次
2〜4
担当者
友岡 敏明
他の科目との関連
履修対象学科
副題 ナショナリズムと人間の尊厳について考える
講義内容  本講義では「人間の尊厳」を主として政治の視点から考察する。近・現代の社会に生起している政治的現象のなかで「人間の尊厳」とナショナリズムの関わりを見極め、両者の逆説的な結び目を考察する。
学修目標 世界的に認知されている原則である「人間の尊厳」に基づく国民自決の原則が歴史的な状況によって、達成されて感激・喜悦を生み出す場合と悲惨の原因となる場合があることを理解し、ナショナリズムとの関連で「人間の尊厳」を考える。
講義計画  世界的に認知された原則は、次のように言う。すなわち、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等の、かつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであるから、そしてこれらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認めて、「すべての人民は、自決の権利を有する(All peoples have the right of self-determination)。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し、ならびにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する」(「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」)ことができることを宣言する、と。
 しかし、この「尊厳」を実現することの難しさは、歴史が実証している。この講義では国家の独立と人間の尊厳が必らずしも並行して実現しないという「逆説的」な事例を扱うことによって、人間の尊厳の難しさと永遠の課題性について考える。

 (1) 人間の「尊厳」の意味
   (ア)冒しがたさの根源
   (イ)人格の社会性からナショナリズムの実存性へ
 (2) 第二次世界大戦後の民族自決の動き
   (ア)日本の占領からの解放
   (イ)チェコ・スロヴァキアの悲願とその実現
   (ウ)ユーゴの解体とその悲惨およびその克服
 (3) アイルランドの例
   (ア)マイケル・コリンズ(Michael Collins, 1890−1922)の時代までのアイルランド
   (イ)コリンズの時代
   (ウ)取り残された北アイルランド
評価方法 問題意識への真摯な取り組み、したがって授業への取り組みにおける誠実度を参照し、定期試験における達成度で見る。
テキスト 特に指定しない。
その他 授業概要に本当に関心のある学生の受講を望む。