南山大学

 

【科目コード】97659

【科目名称】組織イノベーション(意識改革のプロセス)

【担当者】

【単位数】2                    【配当年次】1秋・2    【開講期】秋学期

 

【授業概要】

本科目は、意識改革による組織イノベーションの進め方と、課題解決のための管理能力の深化を狙ったものである。

1999年にトヨタが実施した人事制度改革を事例に、それに至る1980年代に始まる意識改革の経過をレビューする中から、組織構成員の意識改革はどのようにすれば実現できるのか、また併せて2000年以降の様々な取組みもレビューする中から、どのようにすればそうした意識改革の流れは制度として定着し組織のイノベーションへ結びついていくのか、そのために解決すべき課題と課題解決に向けた効果的なアプローチの方法はどうあればよいのか、そうした実務の現場に横たわる問題について実践的回答の提示を試みる。

【到達目標】

   組織イノベーションに向けて、問題の所在を明らかにし「あるべき姿」とのギャップを具体的に記述する中から、取り組むべき課題の抽出と課題解決のための戦略を企画する能力を身につける。

【授業計画】

1.  トヨタの概要   (イントロダクション)

   人事制度の基礎を成す自動車産業と経営の現状を簡潔にレビューする。

2.  トヨタの人事制度 

1960年代から80年代に至る自動車産業の成長期を支えてきたトヨタの人事制度の歴史的形成過程をレビューする。

3.  人事制度改定に向けた意識改革への着手

組織の病理はどのような形で現れるのか。その捉え方と試行錯誤の課程を、1980年代末におけるトヨタの事例をもとにレビューする。

  4.1990年代に始まる意識改革への取り組み

1980年代末の試行錯誤を経て1990年代から本格的に始動した意識改革プロジェクトをもとに、意識啓蒙のプロセスを解析する。

5.  応用演習(1)

   受講者が、意識啓蒙活動の失敗事例あるいは成功事例を持ち寄り、その失敗あるいは成功要因について全員でディスカッションを行う。

6.  意識改革の共有に向けた組織戦略

     1990年代前半にトヨタにて試みられた「BR(Business Reform)プロジェクト」の事例をもとに「意識啓蒙」から「意識改革」への組織戦略を検討する。

  7.意識改革の定着に向けた組織改革

     トヨタがBRを社内組織として明確に位置づけていく中から、意識改革を組織として定着させていく戦略プロセスを分析する。

8.  応用演習(2)

   受講者が、組織イノベーションに向けた成功事例を持ち寄り、その成功要因と限界あるいはイノベーティブな組織運営に向けて取り組むべき課題を抽出し、全員でディスカッションを行う。

9.  人事制度の改革によるイノベーティブな組織運営の定着 (その①)

     基幹職(課長級以上)を対象とした1996年人事制度改定の事例をもとに、その戦略的意義を確認する。

10.人事制度の改革によるイノベーティブな組織運営の定着 (その②)

     組合員(係長級以下)を対象とした1999年人事制度改定の事例をもとに、その戦略的意義をレビューする。

 11.応用演習(3)

     組織イノベーションの視点から、成果主義人事制度をめぐる「成功事例」と「失敗事例」を受講者が持ち寄り、成功あるいは失敗要因の分析と併せてトヨタの人事制度改革の評価を試みる。

 12〜13.イノベーティブな組織を持続させるための試み

     「持続可能な改革」を実践するためになにが必要なのか。こうした問題意識に答えるために、「メリハリ3D運動」など、2000年以降のトヨタにおける様々な取り組みを、2回に分けてレビューする。とくに、「ダイバーシティー」を意識した新しい労務環境の中で、21世紀の組織    イノベーションの新たな方向を考える。

 14.応用演習(4)

     受講者各自の所属する企業あるいは団体を、従来以上に「イノベーティブな組織」に変身させていくためのプロジェクト企画書を作成。その実践の可能性について全員でディスカッションを行う。

【評価方法】

   授業計画に示す4回の応用演習レポートと試験に代わるレポートにて評価。

(応用演習当日業務等で出席できない場合にも、演習課題に関わるレポートを提出すること)

   配点:(応用演習課題レポート内容10点 + 発言など参加態度5点) × 4

      試験に代わるレポート40点

【テキスト】

   授業の都度、詳細なレジメを配布

【参考文献】

   必要に応じて最新の文献を指示

【備考】

    受講者の研究課題、関心の所在および理解度に即して、授業の進度ならびに

各項目への重点配分等については、柔軟に調整見直しを行う。