南山大学

 
指定
選必
期間
秋学期
単位
年次
2〜4
担当者
山田 秀
他の科目との関連
履修対象学科
副題
講義内容  人間の存在法則であり、同時に当為法則でもある自然法を自覚化して、その実生活および実践学上の体系的理解への含意を学生諸君が理解していただけるよう、ギリシャ古典悲劇を例に挙げるなどして、先ず自然法についての大凡の解説を行う。それは「自然法」は他人事(ひとごと)ではないことを納得してもらうために役立つであろう。次に、「善さ」を巡る諸考察を、ソクラテスの生涯と問題提起を皮切りに、主に村井実の人間主義的教育哲学に依拠しつつ紹介していく。ソクラテスの問題提起は何であったのか。それを後世はどのように受け止めていったのか。この問題は「善さ」を巡る人間の努力の歴史をたどることを意味するであろう。その「善さ」を更に、宇宙の理法として考えられないものかどうか、そして、もしそのように考えられるとするならば、それはいわゆる「進化」に関連してこない訳はないであろう。その筋道で考えていくと、人間はどのような存在であると了解されるであろうか。最後に、「善さ」を根底において、政治、法、教育、倫理が人間にとって有する意味と働きとを総合的に考えてみたい。
学修目標  人間とはいかなる存在であるか。この問題に、誰もが直面したときに最も確かな接近方法を提供するものが伝統的自然法思想であるように思われる。それは、常住不断に我々一人一人において経験されるもので、我々自身の存在法則であり当為法則でもある本性法則、即ち、自然法に他ならない。この一点のみに思いを集結させてもらうことを目標とする。そこから各人なりに、人間の尊厳という主題への理解の通路が拓かれてくると信ずる。
講義計画  大凡以下の順序に講義を進めていく。
 但し、毎回提出してもらうレポートにより変更可能性がある。
I 自然法についての概説
第1回 自然法と実定法(国法)
第2回 自然法についての二つの立場
第3回 自然法と「善さ」を志向する人間本性
II 教育と自然法
第4回 ソクラテスの生涯と問題提起
第5回 「善さ」への問い
第6回 「善さ」への様々な回答(1)
第7回 「善さ」への様々な回答(2)
第8回 「善さ」への働き
III 宇宙の理法としての「善さ」
第9回 存在と創造の原理
第10回 進化論と「善さ」の問題
第11回 「善く」生きようとする人間
IV 政治、法、倫理と「善さ」の問題
第12回 政治と法の本質への問いと「善さ」
第13回 倫理の本質への問いと「善さ」
V 全体の纏め
第14回 全体の纏め
第15回 定期試験
評価方法  主として筆記試験(定期考査)により評価を行う。但し、出来るだけ毎回小問題を準備し、それに回答してもらう予定である。これも若干評価に加味する。
テキスト  開講時に指定する。出来るだけ毎回レジュメを準備して配付する。
その他  この科目は、次の JABEE 対応コース「情報技術専修コース」学習・教育目標に対応する。(A)