00542 法と人間の尊厳1,2
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選必 |
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春学期 秋学期 |
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2 |
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2〜4 |
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高橋 広次 |
他の科目との関連 | |
履修対象学科 | 全 |
副題 | 自然法論における人間の尊厳 |
授業概要 | 本授業では、「人間の尊厳」を伝統的自然法論で理解される意味において説明する。その出発点は、いきなり、自由・平等といったア・プリオリに観念的な理想を掲げるのでなく、人間本性が辿る規範的傾向の客観的な観察に基づく。本授業は、人間の本質の考察を踏まえ、その規範的理念や制度目的を具体的な社会的・国家的問題の取組みに即して考える。 |
学修目標 | 基本的人権の尊重は、近世における絶対王政や教会の圧制に対抗した啓蒙期自然法論者や自由主義者の活躍によってはじめてもたらされたと言われるが、それでは、それ以前に「人間は尊い」という意識は、存在しなかったのであろうか。もし、人間の尊厳が人類の普遍的な意識であるならば、それは何に基づいているのだろうか。近代的な「個人の尊重」とは異なった文脈から、古典的自然法に即した「人間の尊厳」の理解に努める。 |
授業計画 | 授業の流れは以下の通り。 (1) 序論:「人間は万物の霊長である」ことの異なった意味 (2) 法は人間が自由に作れるものだろうか? (3) 我々は他人の権利を侵害しなければ何をしても許されるのだろうか? (4) 公権力は常に人民敵対的か?自由社会において監視カメラは不必要か? (5) 国家の防衛と国際協調主義はどのように考えるべきだろうか? (6) 国家は少子高齢社会にあってどのような人口政策を採るべきか? (7) 「多様な」家族はありうるのだろうか?(婚姻と家族の目的) (8) 私有財産制度と共有財産制度はどちらが優れているのだろうか? (9) 自己破産したら借金は踏み倒しても良いのか?(破産免責制度) (10) 尊属殺と普通殺人は同じに見てよいか? ⑪ 重大な犯罪に対する刑罰として死刑は認められるか? ⑫ 少年犯罪は厳罰化で対応できるか、少年に責任はどう問えるか? ⑬ 国家は学校教育、文化・芸術活動にどの程度関与することが可能か? ⑭ 「生きる」ことの使命達成は、個人の責任か、国家の責任か? ⑮ 定期試験 |
評価方法 | 成績の評価に際しては、中間期を見計らって実施する小テスト(レポート)と、定期試験(レポート)の成績結果、及び、毎回の授業への出席を重視し、総合的に判断する。 |
テキスト | 予めレジュメを配布する。なお、参考書として、古典的とも評される著名なハインリッヒ・ロンメン『自然法の理論と歴史』(阿南成一訳)を薦める。 |
その他 |