南山大学

 

【科目コード】97827

【科目名称】資源と環境

【担当者】薫 祥哲

【単位数】2                    【配当年次】12     【開講期】春学期

 

【授業概要】

自然と環境は経済活動を継続していく上で重要な資源であると同時に、人々はより良い環境アメニティーを維持することに高い価値を見出している。これら環境財は、多々して個人所有権が定義されていない公共財であり、生産活動がもたらす汚染物からの外部不経済効果に直面している。したがって環境財の最適な利用を実現するためには、公的な資源管理と政策の必要性が指摘されている。このような観点から、本科目では環境資源管理に関する政策手段とその効率性、そして環境改善がもたらす経済便益とコストを考慮した費用対効果分析の手法を学ぶ。汚染物規制手段である課徴金制度や排出権取引、漁業資源などの再生可能資源や枯渇資源の最適利用、そして環境アメニティーを高めることからの利用価値、存在価値、オプション価値などの具体的なトピックスを扱い、受講生の理解を促進する。

【到達目標】

 環境問題の現状を理解し、どういった点がそれらを解決する妨げとなっているのかを見極め、経済学的な費用便益アプローチから分析できる力を身につけることを目標とする。

【授業計画】  

1.          環境問題に対する経済学的アプローチ
  (1)イントロダクション(2)環境経済学の課題(3)環境資源経営へのプローチ

2.          環境問題と環境経済学
  (1)環境問題とは何か(2)自然環境と経済活動のかかわり(3)環境問題と経済学

3.          公共財としての環境
  (1)公共財の最適供給水準(2)公共財の私的供給(3)費用負担と誘因両立

4.          環境問題と外部不経済
  (1)外部不経済とは何か(2)私的費用と社会的費用 (3)外部不経済の測定

5.          コースの定理と自主協定
  (1)権利の配分とコースの定理(2)コースの定理の条件と政策的含意

6.          環境問題と権利および制度的側面
  (1)コモンズと環境(2)所有権と使用権 (3)権利配分と市場経済

7.          再生可能資源
  (1)再生可能資源とオープン・アクセス問題(2)オープン・アクセス均衡(3)資源の過         剰利用と絶滅均衡(4)過剰な資源利用を防止する政策

8.          再生不可能資源
  (1)資源の枯渇問題(2)ホテリング・ルール

9.          再生不可能資源

     1)再生不可能資源の最適利用(2)独占市場の場合

10.       環境税

1)環境税とは何か(2)環境税と補助金(3)二重の配当(4)環境税

の実態

11.       排出取引制度
 (1)排出取引制度のメカニズム(2)排出取引制度と課税(3)京都メカニズム

12.       廃棄物とリサイクル
 (1)廃棄物と経済学的にみる(2)廃棄物処理とリサイクルの動学的側面

           3)廃棄物処理の費用支払いと費用負担

13.       デポジット制度
 (1)デポジット制度とは何か(2)容器返却量の決定(3)価格変化の影響(4)デポジット制度の実際

14.       環境評価

1)なぜ環境評価が必要か(2)環境評価の手法(3)環境評価手法の意義と限界

15.      まとめと今後の課題

【評価方法】

クラスディスカッションへの参加・貢献度 20%
中間レポート 30%
期末試験 50%

【テキスト】

    細田衛士・横山彰『環境経済学』有斐閣アルマ、2007

【参考文献】

T. Tietenberg, 2006Environmental and Natural Resource Economics, 7th edition, Pearson Addison Wesley, Boston.

C. D. Kolstad(細江守紀、藤田敏之監訳)『環境経済学入門』有斐閣、2001

柴田弘文『環境経済学』東洋経済新報社、2002

N. Hanley, J. Shogren and B. White, 1997Environmental Economics in Theory and Practice, Macmillan Press, London.

植田和弘『環境経済学』岩波書店、1996