南山大学

 
指定
期間
通年
単位
年次
3・4
担当者
岡田 泉
他の科目との関連 国際法各論A・Bの内容に、おおむね対応するように考えられた科目です。すでに国際法総論A・Bを受講していることを希望します。
他学科履修 不可
副題 国際紛争事例研究の展開
授業概要  前年度のミドル演習で消化できなかった問題や、3年次から履修する授業科目「国際法各論A・B」でとり上げられる問題(とくに国際人権法、海洋法、国際刑事法の分野)についての紛争事例を中心に学んで行きます。
学修目標  講義科目「各論A・B」で学ぶ分野は、対象領域がかなり具体的で明確です。それぞれの分野の問題点と特徴を、きちんと把握することをめざします。国際法の事例の面白さをたっぷりと味わってください。
授業計画 (春学期)
I 国際人権法の問題
1〈人権宣言・人権条約の発展=総論〉(国連時代の国際人権法の発展)
2〈マクリーン事件〉(外国人の人権−国内憲法上の取り扱いの問題)
3〈難民の保護〉(難民とはなにか−条約の定義、日本での事例「 秀吉事件」ほか)
4〈柳文卿事件〉(政治犯罪人の擬装引渡)
5〈張振海事件〉(日本初のハイジャック到着事件、政治犯罪の概念)
6〈赤軍派擬装引渡事件〉(手の込んだ現代的な政治犯罪人引渡)
7〈逃亡犯罪人引渡法・日米条約・日韓条約〉(引渡制度の分析=相互主義・双罰性の
  原則・政治犯不引渡し規定・政治犯罪除外規定・加害条項・自国民不引渡し)
II 日本と海洋法
8〈テキサダ号事件〉(刑法第1条(国内犯規定)、瀬戸内海の範囲、領海及び接続水域に
  関する法律(1996年)第2条、「特定海域」(附則2))
9〈第2北島丸事件〉(北方領土と漁業取締り、漁業法適用海域、領海の幅)
10〈アキレ・ラウロ号事件〉(海賊の概念)
11〈第5福竜丸事件〉(核実験と公海自由の原則)
12〈韓国漁船拿捕事件〉(日本の領海と直線基線)
13〈オデコ・ニホン・S・A事件〉(日本と大陸棚事業への課税、慣習国際法の適用)
14〈レポート課題の説明〉
(秋学期)
III 海と船舶取締り
1〈レイノルズ夫妻事件〉(継続追跡と武器使用に関する事件)
2〈アイム・アローン号事件+レッド・クルセイダー号事件〉(同上)
3〈能登半島沖不審船事件〉(無害通航権、沿岸国の保護権、国内法に基づく取締権)
4〈奄美大島沖工作船事件〉(武器使用が許される場合)
IV 国際刑事裁判
5〈ニュールンベルグ裁判〉(はじめての国際刑事裁判)
6〈東京裁判〉(ニュールンベルグ裁判との違い)
7〈山下大将裁判〉(通例の戦争犯罪と上官責任)
8〈アイヒマン事件〉(戦争犯罪の普遍的処罰か)
9〈ICTY・ICTR〉(冷戦後の国連による刑事裁判)
10〈タジッチ事件〉(ICTYの判例)
11〈アカイェス事件〉(ICTRの判例、ジェノサイドの処罰)
12〈ハイブリッド裁判所〉(国際・国内混合型裁判、カンボジア・東チモール等)
13〈ICCローマ規程の構造と機能〉(常設の国際刑事裁判所)
14〈ローマ規程締結の意義と問題点〉(日本の加入)
授業時間外の学習(準備学習など) 毎時限の教材にもとづく事前学習を促すために簡潔な毎時限レポートの提出を求めます。(A4 1枚)
評価方法 授業への参加度(20%)、発表(40%)、レポート評価(40%)にもとづいて、総合的に評価します。
テキスト 『国際法』〔第5版〕(有斐閣、2007年)

【参 考 書】東信堂・有斐閣・三省堂の条約集
国際法学会編『国際関係法辞典』(第2版三省堂)
松井編『判例国際法第2版』
ジュリスト判例百選(国際法)
その他 =受講の条件=
(1)国際法総論および各論を受講していること。(既修または並行履修)
(2)講義のテキストおよび条約集を準備すること。
(3)勉強への熱意と集中力のある人の受講を希望します。
(4)卒業論文(4年次・大学での勉強の総決算)のテーマを発見できるように願います。
(5)ゼミのマネージャーを希望する人は申し出てください。