81254 政治思想史A
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選 |
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春学期 |
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2 |
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2〜4 |
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友岡 敏明 |
他の科目との関連 | 政治学分野諸科目、法哲学、西洋法史、憲法 |
他学科履修 | 可 |
副題 | 「政治」を「生き様」ないし「文化」として捉える思考様式を学ぶ。 |
授業概要 | 「政治」への知的接近が始まった古典古代(classical antiquity)のギリシアとローマの政治思想を概観する。すなわち、先ず、ホメロスやヘシオドスの神話において「まったく物の数にも入らなかった」民衆(デーモス)が次第に無視し得ざる政治的存在へと変貌し、ついにはトゥキュディデスが伝えるアテナイの政治の「主役」として登場する、その展開の過程を見る。次に、この民衆(デーモス)が主役を演じるにいたったアテネ政治が堕落するという事実と、この事実を契機にソクラテスの知的奮闘と彼の衣鉢を継ぐプラトンとアリストテレスという二人の偉大な思想家の政治思想が生まれたパラドックッスを理解する。さらに、この二人の偉大な体系的政治思想家と並んで、時代を超えて後の時代に大きな影響を及ぼすストア学派の思想もまた、遠くソクラテスに淵源する(小ソクラテス学派の系譜の末端に登場する)ことを理解することによって、思想史の妙味に触れる。こうした隆盛—転落—再生の生きた政治思想史のダイナミズムを知的に“体感”しつつ、古典古代が持つ近・現代への貢献面とともに近・現代が見失った「政治」観念を学ぶ。 |
学修目標 | 配付する原典(テキスト)からの抜粋を手掛かりに、過去の政治思想を過去のものとすることなく、古典古代の政治思想の時間軸に沿った知的追体験を通して、政治の本質と価値、国家と人間の関係といった根本的な政治学的課題を理解し、政治の現在と未来を考える糧を得る。 |
授業計画 | 01.参考書紹介と思想史への導入的な話 02.政治思想史という学問について(対象論と方法論) 03.古代ギリシア出発点における政治思想(ホメロスとヘシオドス) 04.デーモスの地位向上への狼煙(のろし)(ソロン以後の改革) 05.古典古代がデモクラシー=民主政と呼んだもの(ペリクレスの演説) 06.デモクラシーの堕落(ペリクレスの第3子の嘆きとプラトンによる批判) 07.古典古代のデモクラシーの危うさの思想的表現(「人間は万物の尺度」) 08.デモクラシーの堕落に起因する思想的ビッグバン(「汝自らを知れ」) 09.ソクラテスの皮相的継承(小ソクラテス学派) 10.ソクラテスに淵源する非体系的大思想(ゼノンからキケロへ) 11.ソクラテスの正統的継承(プラトンとアリストテレス) 12.プラトンの理想的政治論1(正義論) 13.プラトンの理想的政治論2(哲人政治) 14.アリストテレスの現実論的政治論1(政治の自然的根拠) 15.アリストテレスの現実論的政治論2(政体論と多元論) 16.定期試験 |
授業時間外の学習(準備学習など) | (1) 教科書を使用せず、配付資料によって講義を進めるので、配付資料およびノートによって予習・復習をすること。 (2) 配付資料は部分的抜粋なので、扱っている思想ないし思想家のより進んだ理解を望む場合は、抜粋された元の古典を読むことを勧める。 |
評価方法 | 定期試験の成績で評価することを基本とするが、授業の妨害や不真面目な受講態度が発見された学生は20%の範囲で減点評価する。 |
テキスト | 特に指定せず。 |
その他 | 特になし。 |