今年度は新内節の周辺調査と、新内節に関わる近世浄瑠璃本・唄本、及びその他の芸能資料の調査・収集・整理を行った。これらの資料は、古書で売り出された場合、可能な限り取得しないと、半永久的に不明となるか、数年を経て所蔵者が判明する事が多く、それでは研究に差し支えができてしまう。したがって、今年度も、新内節及びそれに関わる資料の収集を精力的に行った。 |
また、今年度が最終年度となる、科学研究費補助金・基盤研究(A)「近世における音曲と演劇テクストの総合比較研究」(研究代表者・松岡心平 東京大学大学院総合文化研究科教授)において、東京大学教養学部黒木文庫の総合的調査・研究の一環として、黒木文庫の新内節正本・稽古本33点の調査・研究を行った。同時に、常磐津節・富本節・清元節及び河東節・一中節・豊後節(宮古路節)・春富士節・宮薗節・長唄の正本・稽古本・段物集の調査研究も行った。 |
収集資料の整理は、コンピューターを用いて、データベースを作成し、作品毎に、正本・稽古本間の本文異同を比較・検討して正確な詞章を作成、現行曲については、正本資料の他、実演をVTR及びテープによって音声資料としても収集し、詞章と併せて譜についても、古体資料及び流派間の比較を行い、節の変遷についても検討したが、今年度は特に文献資料の調査収集に重点を置いたので、本研究の目的である、新内節研究の基礎となるべき資料の収集整理による、新内作品の正確な詞章の決定、作成は、次年度以降としたい。 |
次年度以降も本研究課題による調査研究を続ける予定。 |