最近のフランス刑事立法の動向を知る上で特に重要な法律として、2004年3月9日に制定されたPerbenU法がある。PerbenU法の立法趣旨は、司法の近代化を達成することを目的として、新しく進化する犯罪及び犯罪現象に刑事司法が対応できるようにすることを目指したものであったが、刑事実体法、手続法、特別刑法に及ぶ広範な内容を含む法律であった。今年度の研究としては、PerbenU法の制定により、刑事実体法、刑事訴訟法が改正されたが、その実態について、刑事実体法を中心に、刑事訴訟法も対象として、分析した。また、今回の改正の内容について、ヨーロッパレベルでの刑事立法の調和が及ぼした影響がどの程度のものであるのかという観点からは、組織的犯罪対策に関する改正、司法共助に関する改正が注目される。特に、PerbenU法では、ヨーロッパレベルで制定されたヨーロッパ共通捜査チーム、ユーロジャスト、ヨーロッパ逮捕状に関する枠組決定の内容がフランス法に移入され、国際司法共助、ユーロジャスト、ヨーロッパ逮捕状に関する規程が整備されている。 |
今年度の研究では、もっぱらPerbenU法の内容を中心に分析を加えたが、その後、さらに、テロ犯罪等に関する法律改正がフランス議会で審議されており、新しい動向に注目しつつ、来年度は、ヨーロッパレベルでの刑事法の動向とフランス国内における法整備との関係についてさらに研究を進めていく予定である。 |
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