本研究は、「平成の大合併」等の地方制度再編の渦中にあって、合併か自立かの選択という対立軸と、日常的ないし非日常的事態(=震災復興)という対比軸という二つの課題軸の設定に基づいた地域類型の比較調査研究という方法を通して、農山村を始めとする「地域再生」・地域づくり、ひいては都市・農村の連携と国土保全をめざした地域経営のあり方についての課題と展望を明らかにすることを目的としたものである。 |
【研究課程】ただ研究のメインである具体的な類型地域のフィールド調査に関しては、タテ軸にすえた「平成の市町村合併」も、またヨコ軸にすえた中山間地震災復興事業(新潟県中越大震災)も、目下、様々な動向が現在進行形であり、単年度の調査研究では、それらの全貌について実証的なモニタリング(=事後評価)にたって、歴史的位置づけや教訓の解明を十全に行える時期ではない。従って、今年度の主要な調査研究としては、現地での事態の進展の画期に対応し、以下の自治体のヒアリング・資料収集を積み重ねた。 |
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2005年8月19日〜20日:新潟県(総合政策部震災復興支援課)、長岡市(復興推進室・地域自治振興室・財務部財政課)、小千谷市(総務課)→→いずれも8月までに策定された「震災復興計画」に関する調査が中心(長岡市に関しては合併に伴う「新市建設計画」も併せて)/ |
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同 11月20日〜22日:にいがた自治体問題研究所等での研究交流・資料収集/ |
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新潟市(企画財政局・総務局・商工労働部・農林水産部他)→→新潟市の合併と「政令指定都市」移行の準備過程に関する調査/ |
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新潟県、長岡市→→震災復旧・復興事業の進捗状況の把握/ |
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同 12月26日〜27日:新潟市→→「政令市」移行後の県からの権限移譲内容、「区制」等の行政組織・地域自治組織の設置計画等/長岡市(復興推進室、山古志支所)→→山古志の「集落再生計画(中間報告)」に関する調査 |
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2006年3月27日〜28日:小千谷市、長岡市、新潟県→→いずれも平成17年度復興計画・事業の進捗状況と残された課題の把握(2年連続での豪雪と復興事業の遅れなど)、18年度復興予算等に関して/ |
【研究成果】設定した課題の予備的考察を兼ねつつ、とくに「平成の市町村合併」の背景と本質について地域・都市経済論の視点から総論的に論じたレポートを、以下のタイトル・目次にしたがってまとめた。但し、これはまだ全体の研究主題の序説にすぎない。 |
<自治体再編下の地域経営―都市でない「都市」と地域再生のジレンマ―> |
1.分権化の潮流と「日本型」地方分権改革 |
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(1) |
「地域(=自治体)」への新たな注目 |
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(2) |
「未完の分権改革」 |
2.「日本型」地方分権改革の急旋回 |
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(1) |
併走する市町村合併 |
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(2) |
建前としての「自主的」合併―なぜいま、合併なのか― |
3.「平成の市町村合併」―都市経済論からみたその政策的非合理性― |
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(1) |
戦後日本の都市制度の特質と変容 |
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1)大都市制度の特例 |
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2)「日本型」地方分権と都市制度の多様化 |
(2)都市でも農村でもない「都市」 |
4.合併政策のジレンマと地域経営の課題―新潟県にみる合併類型を事例に― |
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(1) |
逆説の「地域自治組織」 |
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(2) |
新潟県におけるポスト「市町村合併」の位相 |
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1)「政令市」志向型合併―新潟市― |
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2)合併・新市建設計画と震災復興計画の同時進行―長岡市― |
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3)小活と今後の課題 |