2005年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・特別)研究成果報告書

  
氏名 久村 恵子 所属 総合政策学部総合政策学科
研究課題 経営組織におけるストレス・マネジメント―組織内発達支援関係と精神健康との関係性からのアプローチ―

研究実績の概要
 今年度の研究では、経営組織におけるストレス・マネジメントとして、組織内発達支援関係の一つであるメンタリングの可能性を探索することを目的とし、大きく2つの調査を実施した。以下、各調査の経過と結果について述べる。
1.文献調査の経過および結果
 文献調査は以下の2つの軸に従い実施した。
 第1は、ビジネス領域におけるストレス・マネジメントに関する情報収集である。具体的には、企業におけるストレス・マネジメントの現状をはじめ、新たなストレス・マネジメントの試みに関して文献調査を進めた。
 第2として、働く人々の組織内発達支援関係と精神健康との関係性を議論する上で必要となる基礎的および実証的研究に関する文献調査を実施した。
2.実証研究の経過および結果
 第1の実証研究として、質的・量的側面から見た組織内発達支援関係と精神健康との関係性について検証を実施した。具体的には、上記の文献調査の結果の一部を踏まえつつ、新入社員教育の一環としてメンタリングを活用している企業を対象とした既存データを利用し再分析することにより、新入社員が有する発達的支援関係と享受する支援行動が及ぼす精神健康への影響力を検証した。その結果、確かに組織内において制度的に導入された発達的支援関係を用いたストレス・マネジメントの可能性を指摘することができた。しかし、その一方で発達的支援関係によるストレス・マネジメントを運用する際の問題点や考慮点も明らかとなり、今後のプログラム開発に有効な知見についても示唆した。この成果の詳細については『南山経営研究』第20巻第2・3号(2006/3)に投稿した。
 第2の実証研究として、ストレス・マネジメントとしてのメンタリング・プログラムの効果に関する評価調査を実施した。この調査は昨年度のパッヘ研究奨励金I-A-2にて始められた調査の継続調査である。昨年度の2度にわたる自然災害により中断し、再度、今年度再開された職場のコミュニケーション促進とストレス・マネジメントを目的としたメンタリング・プログラム導入企業の協力のもと、プログラムに関する様々な質的・量的データの収集を実施した。具体的には、プログラム期間中、月に1度、参加者対象にプログラムに関する報告書の提出を求め、参加者およびプログラム運営の現状を把握するためのデータを収集した。さらに、2006年2月に参加者の精神健康状況やメンタリング享受/実施環境についての質問紙調査を実施し、現在、分析作業を進めている。なお、面接調査については、現在、企業との間で日程や対象者など具体的な調整を実施している段階である。そのため、この面接調査を実施した後、一連のデータを検証し、前年度の調査結果も含め、事例研究として、またその効果評価に関する実証研究として報告していく予定である。

「雑誌」の部 「図書」の部
@ 論文題目 「新入社員の精神健康への組織内発達支援関係の影響」 @ 書名  
雑誌名 『南山経営研究』 出版社  
巻号 第20巻第2・3号 巻号  
発表年月 2006年3月 発表年月  
ページ pp.187〜210 ページ  
著者名 久村 恵子 著者名  
備考 提出済 備考  
A 論文題目   A 書名  
雑誌名   出版社  
巻号   巻号  
発表年月   発表年月  
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著者名   著者名  
備考   備考  
B 論文題目   B 書名  
雑誌名   出版社  
巻号   巻号  
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著者名   著者名  
備考   備考