2005年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・特別)研究成果報告書

  
氏名 渥美 紀寿 所属 数理情報学部情報通信学科
研究課題 高信頼性ソフトウェア構築のためのコーディング規則抽出に関する研究

研究実績の概要
研究の経過
 現在,多くのソフトウェアが利用されており,その信頼性の確保は社会的課題となっている.本研究では,特にコーディングにおける信頼性を確保する事を目指している.そこでまず,コーディングにおいて開発者がこれまでに培ってきたノウハウを共有するための方法として,コーディング規則を抽出する手法について研究を行った.しかし,提案手法では,類似したコーディング規則の抽出が困難であったため,XMLソフトウェアリポジトリを提案し,類似コード検索に優れた環境を提案した.
 コーディング規則抽出手法については電子情報通信学会論文誌に掲載され,XMLソフトウェアリポジトリについては情報処理学会の研究会で発表を行った.
コーディング規則抽出
 提案手法に基づいてFreeBSD 4.5-RELEASEの/usr/src/usr.sbinにある平均1,500行のソフトウェア152個に対して標準ライブラリ関数に関するコーディング規則の抽出を行った結果,各ライブラリ関数に対して,平均5個の規則を抽出する事ができた.
 この法則を抽出するにはPentium4 2.8GHzメモリ512Mbyteの計算機で約10時間であり,非常に時間を要する.
XMLソフトウェアリポジトリ
 コーディング規則は木構造で表現されるため,木構造の表現に適したXMLを利用することによってXML関連技術を用いてコーディング規則抽出にかかる時間短縮を期待できる.
 ソースコード中のプログラム要素の構成関係をXMLの要素の親子関係で表現し,プログラム要素間の定義参照関係をXMLの属性を用いて表現した.これをXMLソフトウェアリポジトリと呼ぶ.これを用いて実際にXQueryを用いてコード検索を行うツールを実装し,これまでのソフトウェアリポジトリと異なり,より高度な検索が可能となった事を示した.
今後の課題
 XMLソフトウェアリポジトリを用いてコーディングルールを抽出するシステムを実装し,これまでのソフトウェアリポジトリを用いた場合と比較実験を行う.また,XMLを用いる事によって,XML関連技術を用いてネットワークを通じたソフトウェアリポジトリの操作を行う事が可能となるため,今後の課題として,これらの技術を用いてコーディングにおけるノウハウを抽出することが考えられる.

「雑誌」の部 「図書」の部
@ 論文題目 「XML記述によるソフトウェアリポジトリを用いたコード検索」 @ 書名  
雑誌名 『情報処理学会研究報告』 出版社  
巻号 2005-SE-149 巻号  
発表年月 2005年7月29日 発表年月  
ページ pp.57〜64(8p) ページ  
著者名 渥美 紀寿、山本 晋一郎、阿草 清滋 著者名  
備考 報告書とともに提出 備考  
A 論文題目 「イディオム検索のための関数呼出依存グラフのクラスタリング手法」 A 書名  
雑誌名 『電子情報通信学会論文誌』 出版社  
巻号 Vol. J88-D-I, No. 11 巻号  
発表年月 2005年11月 発表年月  
ページ pp.1696〜1707(12p) ページ  
著者名 渥美 紀寿、山本 晋一郎、阿草 清滋 著者名  
備考 報告書とともに提出 備考  
B 論文題目   B 書名  
雑誌名   出版社  
巻号   巻号  
発表年月   発表年月  
ページ   ページ  
著者名   著者名  
備考   備考