本研究では地上部のみならず地下の根も含め、その周囲の環境との相互作用も再現可能な現実感の高い樹木の生長モデルの構築を目指しており、以下の3つの部分に分けて研究をおこなってきた。 |
1.樹木の形状生成に関する部分 |
2.樹木内部の代謝や生長制御に関する部分 |
3.樹木周囲の環境に関する部分 |
第1の形状生成に関する部分について、今年度は特に根部分の生成に関して、従来より行っていた研究をより広範な根系に適用できるように改良した。このモデルでは、 |
・水屈性 |
・重力屈性および斜行重力屈性 |
・土壌による屈曲および生長抑制 |
・側根と不定根の差位による主根系、ひげ根系の2種の根系生成 |
を表現可能としており、この結果は論文として |
"A Growth Model for Root Systems of Virtual Plants with Soil and Moisture
Control"というタイトルで電子情報通信学会 英文論文誌 D No. 5, 2006に掲載予定である。地上部との統合については留学中の成果および第2の生長制御と組み合わせて今後実現予定である。 |
第2の樹木内部の代謝や生長制御に関する部分については根端および枝先から発する架空のホルモンを伝達し、枝長に応じて減衰させることで生長量や寿命を制御する簡易なモデルを構築中である。この成果は次年度に国際学会や論文により発表することを検討している。 |
第3の環境モデルについては今年度は既存のモデルの調査にとどまった。本研究では樹形生成にインタラクティブな操作を取り込みたいと考えているので、既存のモデルのうちリアルタイム性を重視したものをもとに次年度以降検討をすすめたい。 |