2006年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 青山 幹哉 所属 人文学部人類文化学科
研究課題 尾張・三河武士における歴史再構築過程の研究
研究実績の概要
1. 史料収集活動
  (1) 東京大学史料編纂所において、尾張国丹羽郡小折の国人生駒氏について、近世に成立した「生駒氏伝記」「生駒家系図」等の史料を閲覧。
  (2) 金沢市立図書館「加越能文庫」所収文書から、尾張出身武士の戦国末期における家系・由緒等に関連する史料を収集。
  (3) 名古屋市立鶴舞中央図書館・蓬左文庫等において、尾張・三河出身の武士についての近世家系伝承の事例を収集。
2. 研究経過
  (1) 今回の研究では、尾張部北西部出身の武士−生駒・横井・大橋・池田・加藤・岡田の諸氏−を主たる対象とした。
  (2) 生駒・横井氏については、近世前期における知行地・身分(名誉)確保の視点からの「歴史」再構築行為が見られ、大橋・池田氏については、軍記物に強い影響を受けた形での「歴史」再構築行為が見られた。
  (3) 横井・岡田氏については、過去の名族の子孫であるとする伝承が戦国末期までに成立した。
3. 研究結果
   近世人が自己の先祖の中世史を考えた時、当然ながら、近世からの視点に立って先祖の事蹟を解釈する。 その際、@敗者復活の歴史として現在を叙述する、A逆に過去の栄光を強調し、現在の家の没落を仮の姿とする、 B徳川氏との縁を強調し、それ以外の歴史を消し去る、C軍記物等によって広く知られた名族の血を引くことを強調する、 等の作為があった。これらから考えると、少なくとも近世前期において、「中世史」は現在へ継続する歴史としてしか認識されなかった。 この意味で武士(及び元武士)の家にとっての中世史再構築とは、現在の家の顕彰行為であり、家としての自己認識という性格を強く表出させたものであった。
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@ 論文題目 @ 書名
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A 論文題目 A 書名
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