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2006年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書 | |||||
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氏名 | 上野 宏 | 所属 | 総合政策学部総合政策学科 | ||
研究課題 | 経済移行国の財政制度の研究:モンゴル国の租税制度 | ||||
研究実績の概要 | |||||
研究経過 (1)この研究は以下の内容を目的とした。(a)モンゴル国の財政制度の変遷と現状の把握;(b)財政制度の中の租税制度の現況と問題点の分析;(c)国税・国税制度と地方税・地方税制度の関係の把握;(d)公共部門経営財政法(PSMFL)が税収・税制度に及ぼした影響の把握。方法は、文献調査による分析を計画した。 (2)実際には文献が不足し、モンゴル国への現地調査を2006年8月31日から9月9日まで行い、政府職員へのインタビューと統計・文献資料収集を行った。 (3)研究成果の一部を、『南山経済研究』21巻3号(2007年3月31日予定)へ、「モンゴルの租税制度と租税収入(1)」として公刊予定である。 研究結果 (1)内容(a)の財政制度については、時間的な余裕がなかったので以後の研究へまわし、財政支出と財政収入の変遷と現状を把握した。現状に関する結論は、(@)財政支出は2004年時点で大きすぎる;(A)2004年以降の財政当局の支出削減努力の成果は素晴らしいものであり、2005年には財政黒字を達成した;(B)財政収入は順調に伸びてきているが、対GDP比で見れば最大が2001年の39%であり、2005年には37%まで低下している。この低下は、財政赤字が発生しない限り、望ましいものである。上記の研究内容(b)〜(d)については、以下に纏める。 (2)2005年の財政収入の殆どである83%は租税収入による。租税制度は、国税と地方税からなり、合計を一般(政府)税収と呼ぶ。問題の一つは、地方税の弱体である。地方税収の一般税収に占める割合が非常に低く、2002年には22%であったが、2003年には9%へ激減し、以後9〜10%のレベルで低迷している。財政的な地方自治へは程遠い状況にある。 (3)2003年における地方税収の激減の主な原因は、2003年1月から実施された公共部門経営財政法(PSMFL)であると思われる。即ち、PSMFLは、地方政府の税収と支出を中央政府へ移管してしまった。地方政府の主な支出は、地方・地域と緊密に結びついた教育・保険医療への公共支出である。一般支出データによれば、教育・保険医療への支出は、全体としては2003年以降もそれほど変化していない。即ち、全体としての支出額は維持されているが、その財源と権限が地方から中央政府へ移管されたことになる。このような中央集中が、現時点でのモンゴルにとって望ましいのかどうかは、慎重な分析が必要である。 (4)Schick(1997)は、途上国がニュー・パブリック・マネジメント(PSMFLのベースにある基礎概念)を採用する前に達成すべき必要諸条件を特定している。PSMFLとモンゴルの制度現況は、これら諸条件の殆どを満たしていない。上記の地方財政への問題だけでなく、PSMFLそのものに問題が存在することが、指摘できる。 |
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「雑誌」の部 | 「図書」の部 | ||||
@ | 論文題目 | 「モンゴルの租税制度と租税収入(1)」 | @ | 書名 | |
雑誌名 | 『南山経済研究』 | 出版社 | |||
巻号 | 第21巻第3号 | 論文名 | |||
発表年月 | 2007年3月 | 発表年月 | |||
ページ | pp.183〜204 | ページ | |||
著者名 | 上野 宏 | 著者名 | |||
備考 | 備考 | ||||
A | 論文題目 | A | 書名 | ||
雑誌名 | 出版社 | ||||
巻号 | 論文名 | ||||
発表年月 | 発表年月 | ||||
ページ | ページ | ||||
著者名 | 著者名 | ||||
備考 | 備考 | ||||
B | 論文題目 | B | 書名 | ||
雑誌名 | 出版社 | ||||
巻号 | 論文名 | ||||
発表年月 | 発表年月 | ||||
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著者名 | 著者名 | ||||
備考 | 備考 |