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応用倫理学に基づいた技術災害の例として 1986 年のスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故を取り上げ、内部告発が技術者の責任を果たす方策として提示されがちであることを確認した。その過程で、事故の原因として経営者の非倫理性を前提する傾向にあるために技術者による告発が事故を防ぐ方策として導かれていることを確認した。
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科学技術社会論に基づいたチャレンジャー事故の事例分析を検討し、経営者の非倫理性という単純な原因というよりはむしろ、技術的な逸脱が徐々に標準化されていたことが事故を導いていたことを確かめた。
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3. |
2 と平行して、内部告発ではなく組織に外部の視点を導入することが逸脱を標準化しないことにつながり、事故の防止に資することを確認した。
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代表的な事例であるフォード・ピントの事例に科学技術社会論の視点を適用することで、科学技術社会論による事例分析の有効性に一般性があることを確認した。
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1-4 の研究成果を、科学技術社会論学会・第5回年次研究大会で口頭発表した。
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1-5 から得られた結果をさらに発展させた研究を、「科学技術社会論と統合された技術者倫理の研究」の「第V部 科学技術社会論と技術者倫理の統合」・「第 8 章 S&TSの導入による技術者倫理分野の拡張」としてまとめた。「科学技術社会論と統合された技術者倫理の研究」は名古屋大学・大学院人間情報学研究科に提出し、博士(学術)を取得した。 |