2006年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 藤井 勝之 所属 数理情報学部情報通信学科
研究課題 人体を伝送路として利用したウェアラブルデバイスの伝送メカニズムに関する研究
研究実績の概要
 近年, 人体を伝送路として利用した通信システム(人体通信)が脚光を浴び, 実用化に対する期待が高まっている. しかしながら, 人体通信の信号伝送メカニズムについては未だ不明瞭な点が多く, 電磁波と人体の相互作用という観点からの研究報告例は少ない. そこで申請者は, 人体通信用ウェアラブルデバイスの信号伝送メカニズムを究明することに主眼を置いている. 今後, 人体通信用ウェアラブルデバイスの普及に伴い, 人体の至る所に装着し, 各機器間での通信を行う使用形態が発展していくと予想される. その際, 設計指針を立てるためには, 全身周囲にどのように信号が分布するか, また姿勢変化によって伝送特性がどのように変化するかを把握しておく必要がある.
そこで, 申請者は「パッヘ研究奨励金T-A-2」により, 以下の研究成果を挙げた.
全身モデルを用いた電磁界解析
  数値電磁界解析を行い, 簡素ならびにリアルな日本人男性全身モデルを用いて, 自由空間中の人体近傍における電界強度分布を求めた. その結果, 簡素モデルとリアルモデルの電界分布は酷似しており, 単一媒質の簡素モデルでも十分に伝送メカニズムを解析することが可能であることが明らかになった. 本結果は今後の人体通信用ウェアラブルデバイス開発の際, 計算機資源の節約につながり, 設計期間の短縮に結びつくと考えられる.
姿勢を変化させた際の伝送メカニズムの解析
  従来までの検討では, 人体の姿勢変化に対するウェアラブルデバイスの伝送特性の評価はなされていなかった. そこで, 申請者は日常生活における代表的な4つの姿勢をモデル化し, 電磁界解析を行った. 人体のサイズは統計データから得られた日本人男女の平均値を採用し, 人体の電気定数は筋肉の値を用いた. 解析する姿勢は, @腕を横に広げ, ウェアラブルデバイスが胴体から最も離れた状態(横モデル), A腕を真上に上げ, 足下から最も離れた状態(真上モデル), B肘を曲げ, 腕時計を見ている状態(腕時計モデル), C肘を曲げ、上にかざした状態(吊革モデル)とした.
 数値解析を行った結果, 人体通信用ウェアラブルデバイスから出力された電界は, あらゆる姿勢においても体表に垂直な成分が全身に一様に分布することを明らかにした. さらに人体が大地グラウンドにアースされた状態においても, 電界分布は自由空間中とほぼ変わらない事を明らかにした. 本研究成果によって, 人体通信の提唱者である MIT の Zimmerman 氏が提唱している電磁界モデル(T. G. Zimmerman, “Personal Area Networks (PAN): Near-Field Intra-Body Communication,” M. S. Thesis, MIT Media Laboratory, 1995.)の科学的根拠が明らかになった.
「雑誌」の部 「図書」の部
@ 論文題目 “Study on the electric field distributions around whole body model with a wearable device using the human body as a transmisson channel” @ 書名
雑誌名 Proceedings of the first European Conference on Antennas and Propagation (EuCAP 2006), Nice, France, November 2006 出版社
巻号 CD-ROM 論文名
発表年月 2006年11月 発表年月
ページ 講演番号362672 ページ
著者名 K. Fujii, M. Takahashi, K. Ito, N. Inagaki 著者名
備考   備考  
A 論文題目 A 書名
雑誌名 出版社
巻号 論文名
発表年月 発表年月
ページ ページ
著者名 著者名
備考   備考  
B 論文題目 B 書名
雑誌名 出版社
巻号 論文名
発表年月 発表年月
ページ ページ
著者名 著者名
備考   備考