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研究経過 |
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本研究は、平成18年度科学研究費補助金(萌芽研究)の交付を受けた研究課題「再帰的な観光人類学研究の探求」 (課題番号:18652080)と連動するものであり、観光人類学研究の可能性を、おもに理論研究の面と実際の観光現像に関する調査研究の面から探ろうとするものである。 |
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今年度は、8月にバリ島で、9月に沖縄で、それぞれ短期の資料収集をおこなうとともに、昨年度から引き続き観光研究の基本的な視座についての理論面での検討を進めようとした。研究奨励金は、こうした資料収集の際の機材の購入と、文献研究に当たっての図書の購入に、もっぱら当てた。 |
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観光現象に関わるところで理論的な成果をまとめあげ、公刊するまでには至らなかったが、観光をも含むところの文化一般についての基底的な認識についての議論をまとめることはできた。それが、次ページの研究成果公刊の箇所にある雑誌論文である。 |
2. |
研究結果 |
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資料収集の面では、とくに沖縄の先島地方においてサーベイ調査をおこなうことによって、今後の集約的な調査の可能な地域をある程度絞り込むことができた。科研申請の課題はあと2年継続予定なので、次年度には、あらためて計画を練って調査(資料収集)をおこなう予定である。 |
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バリでは、ここ数年間、日本人の長期滞在者について継続的な資料収集をおこなっている。このテーマですでに論文を2本公刊しているが、今年度の資料収集では、すでに指摘した点以外の論点を抽出しうるような新たなデータや視点を獲得するには至らなかった。場合によっては、今後テーマの変更や調整を検討する必要もでてくるだろうという点を、再認識した。 |
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研究の成果という点では、今年度もっとも予定通りにいかなかったのが、理論面の探求だった。理論面での議論の深化が不十分だったので、バリと沖縄において収集すべきデータの方向性がいまの段階では十分画定できていない。次年度にも夏に資料収集を予定しているので、バリと沖縄を(ゆるやかにせよ)つなぐ論理の糸を見出すべく、今後も努力したい。その過程で、また研究論文を公刊できればと考えている。 |