2006年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 杉浦 洋 所属 数理情報学部情報システム数理学科
研究課題 関数の解析性判定機能を持つ領域演算システムとその応用
研究実績の概要
 領域演算システムの基礎構築をめざし主に2つの研究に力を注いでいる.多項式の根を求めるアルゴリズムに関する研究と,解析関数の自動Chebyshev級数補間の研究である.また,領域演算システムの基礎として,区間演算システムの試作を行った.
1.多項式の根を求めるPomentale法の特性.
 代数方程式の数値解法の分野では任意の収束次数を取りうる解法の系列が,いくつか知られている.我々はApollonius 領域に基づく新しい解析法を提案し,それに基づいてNourein法とPomentale法の系列について大域収束性の解析を行った.そして,ある零点のApollonius 領域は,次数が高くなるにつれ広がり,極限においてその零点を母点とする Voronoi 領域に一致するという興味深い定理を導いた.この分野では,同じ系列の反復解法では高次のものほど安定した収束性を示す,ということが経験的に分かっていた.我々の定理は,高次の解法ほどその Julia 集合が狭い領域(零点を母点とする複素平面のVoronoi 分割の境界近傍)に押しやられることを意味しており,この経験則に理論的な裏付けを与えている.これは解法の系列における次数と大域収束性の関係を明らかにしたものとして,私の知る限り唯一のものである.昨年度のNourein法の論文に続き,今年度Pomentale法の論文「代数方程式に対する高次Pomentale法の収束特性」も同誌に掲載された.

2.解析関数の自動Chebyshev級数補間
 有限区間における解析関数の近似として,FFTによるChebyshev級数補間がある.この方法は,高精度でかつ計算量も少ない.しかし,補間次数が2の巾でなければならないという強い制約がある.自動補間では,要求精度に達するまで補間次数を増加させるが,次数増加は公比2の等比数列となり,誤差制御が荒く過大精度となりがちである.その欠陥はChebyshev補間を拡張したquasi-Chebyshev補間を導入することにより克服されることは,既に示した.昨年度は効率の良いアルゴリズムの一般的な構成法を開発し,それに基づき実用的プログラムの開発に入った.内容は論文にまとめつつある.今年度は,補間系列の平均収束性を証明し,「準等間隔標本点上の三角多項式補間の平均収束性」として応用数理学会年会で発表した.

 残念ながら,両論文ともパッへ研究奨励金の援助を受けたことを記載し忘れた.
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@ 論文題目 @ 書名
雑誌名 出版社
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発表年月 発表年月
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著者名 著者名
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A 論文題目 A 書名
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巻号 論文名
発表年月 発表年月
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著者名 著者名
備考   備考  
B 論文題目 B 書名
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巻号 論文名
発表年月 発表年月
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著者名 著者名
備考   備考