本研究は、代表的な外国語運用能力モデルであるACTFL Proficiency Guidelines (米国外国語教育協会の運用能力規定)、欧州言語共通枠組み(CEFR)、JF日本語スタダード(国際交流基金)等において重要な位置づけを持つ“Can-do-statements” の中身を精査することにより、言語機能能力の姿をより明示的に表すことを試みた。そのため、以下の計画に従って、研究を進めた。 |
1. |
最近発表されたばかりの2012 ACTFL Proficiency Guidelines(ACTFLプロフィシェンシー基準)を精査し、これまでに使用されてきた1986年版と1999年版のガイドラインがどのような理由で現在の形になったかを突き止め、さらに、この最新版の妥当性を検証する。 |
2. |
欧州共通言語枠組み(CEFR)の中身の再検討を行う。 |
3. |
JF日本語スタンダード(国際交流基金)、日本語能力試験で使用されている“Can-do-statements”の中身を精査し、その妥当性を検証する。 |
4. |
上記4項目を併せ、外国語運用能力の規定における言語機能能力のより適切で妥当性の高い記述を試みる。 |
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上記1については、2012年5月米国プリンストン大学で開かれたPrinceton Forum on Japanese Pedagogyで研究発表を行い、ACTFL(米国外国語教育協会)に関わる研究者とともに討論し、現在の新しいガイドライン作成に至るまでの経緯を解明、かつ、その問題点を指摘した。そして、その成果をひつじ書房より近々出版される『日本語教育の新しい地平を開く』と『日本語プロフィシェンシー研究』にて公表した(ゲラ添付)。上記2から3についても、研究を行ったが、4で記したような完成品を作るまでには至っていない。しかし、その途中の段階をある程度の姿で示せることができ、それを2013年3月28日に桜美林大学で開かれたシンポジウム「言語能力評価の最前線」にて発表した。 |