2012年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 奥田 博子 所属 外国語学部英米学科
研究課題 福島第一原発事故発生から収束宣言へ到る過程のレトリック分析
研究実績の概要
 まず、2012年8月10日から12日に神奈川県の上智大学短期大学部で開催される第四回議論学国際学術会議における研究発表を目指し、東日本大震災につづいて東京電力福島第一原子力発電所において原発事故が発生した2011年3月11日から官邸での記者会見において野田佳彦首相が福島第一原発事故の「収束宣言」を行なった同年12月16日までの原発事故と原発災害をめぐる日本政府のリスク・コミュニケーション及びクライシス・マネージメントを分析することに主眼をおいた。「三・一一」当日に出された緊急事態宣言が解除されないまま、国民の不安や怒りを抑え込むために出された収束宣言がどのように機能したのかを批判的に分析するために米国スリーマイル原発事故やソ連チェルノブイリ原発事故をも視座に入れた「原子力の平和利用/核の軍事利用」の歴史、国際原子力機関における国際政治、ドイツの社会学者ベックが唱導するリスク・コミュニケーションの文献資料はもちろんのこと、核開発、日米外交、そして議論学の文献資料を収集した。収集した文献資料を読み進める一方、国内外の新聞・メディア報道を読み比べてゆくなかで政治言説に特有と言われる婉曲表現がきわめて顕著であることを見出した。
 第四回議論学国際学術会議での研究発表では、実際、福島第一原発事故を「未曾有の」、「前例のない」、そして「想定外」と形容した三つの形容詞に基づいてレトリック分析および論証を強化することができた。海外の新聞・雑誌・メディア報道のさらなるデータ検索や資料収集から国際社会の反応や変化を読み解くことに努めることで、収束宣言が出されるに到った国内外のコンテクストを比較検討しながら議論学の見地からも論稿の推敲を重ねた。
 本研究の成果として、日本ディベート協会が刊行したプロシーディングスに拙稿 “Critical Reflection on Japan’s Crisis Management as Nuclear State: A Case Study of Japanese Politics and Language in the Fukushima Nuclear Accident”を掲載することができた。研究発表に際して得られたコメントや意見は、議論学やコミュニケーション研究をはじめとするさまざまな研究分野においてFukushimaに対する関心が国内外で強いことをあらためて実感する機会を与えてくれた。
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@ 論文題目 Critical Reflections on Japan’s Crisis Management as Nuclear State @ 書名  
雑誌名 Proceedings of the 4th Tokyo Conference on Argumentation 論文名  
巻号 N/A 出版社  
発行年月 August 2012 出版年月  
ページ pp. 78-84 ページ  
著者名 Hiroko OKUDA 著者名  
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A 論文題目   A 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
発行年月   出版年月  
ページ   ページ  
著者名   著者名  
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B 論文題目   B 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
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