2012年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 太田 達也 所属 外国語学部ドイツ学科
研究課題 日本語を母語とするドイツ語学習者の作文への修正フィードバックの効果
研究実績の概要
  本研究では、以下の4つの方法でデータを取得し、分析を行った。
  (1) 学習者に対するアンケート調査
 教員に作文を添削してもらう場合、どのような種類のフィードバックを好むのかについての質問紙を作成し、アンケート調査を実施した。被験者数96名。
  (2) 3種類のフィードバックの効果の違いに関する調査
 学習者の書いた作文に対し、(a)誤りの箇所に下線および修正例を記す、(b)誤りの箇所に下線および誤りの種類を表す記号を記す、(c)誤りの箇所に下線のみ記す、の3種類のフィードバックをグループ別に与え推敲版を再提出させる活動を6回にわたって行い、フィードバックの効果の違いを測るための量的調査の分析データとした。被験者数96名(途中辞退者を含む)。
  (3) 推敲プロセスの観察
 上記3種類のフィードバックを受けた学習者が、それぞれどのようなプロセスで作文の推敲を行うのかを調べるため、一部の被験者にあらためて個別に推敲作業に取り組んでもらい、その様子を録画・録音して、発話プロトコルに基づく質的分析の対象とした。被験者数12名。
  (4) フォローアップ・インタビュー
 上記(3)の補完データとして、被験者へのフォローアップ・インタビューを実施し、(3)と同様、質的分析の対象とした。被験者数12名。
  以上の調査によって得られたデータを分析した結果、以下のことが明らかとなった。
3種類のフィードバックによる効果の「差」は、統計的にはほとんど認められない。
効果の「差」がほとんど認められないながらも、中級の学習者より初級の学習者の方が、フィードバックによる効果の「差」が若干大きいようである。
推敲プロセスの観察データの分析では、学習者による個人差が認められるものの、総じて「(a)誤りの箇所に下線および修正例を記す」グループの学習者においてはフィードバックを受けての深い認知的処理が他の2つのグループに比べて活発に起こらず、このことがグループ間で「差が見られない」ことの要因のひとつとなっていると考えられる。
 なお、本研究を遂行するにあたって必要な先行研究のレビューをまとめた論考「外国語作文における修正フィードバックの効果に関する研究の動向と展望」は、「研究ノート」として、2013年1月発行の「アカデミア 文学・語学編」93号に掲載された。また、2013年3月22日にバンベルク大学で開催されたFaDaF (Fachverband fur Deutsch als Fremdsprache)の年次大会においても、本研究の成果の一部を発表した。
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@ 論文題目 外国語作文における修正フィードバックの効果に関する研究の動向と展望 @ 書名  
雑誌名 アカデミア 文学・語学編 論文名  
巻号 93号 出版社  
発行年月 2013年1月 出版年月  
ページ p.171-180 ページ  
著者名 太田達也 著者名  
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A 論文題目   A 書名  
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巻号   出版社  
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著者名   著者名  
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B 論文題目   B 書名  
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