本研究は複数年の長期研究期間を想定しているが、本年度も次に挙げる3領域において研究を継続した。
|
|
@ |
典礼史的研究 |
A |
聖書解釈史的研究
|
B |
典礼神学的研究 |
|
@ |
においては、ルートヴィヒ敬虔王および彼の後継者たちの時代の典礼史の動向、特にアマラリウス(775?-850?)およびストラボ(808?-849)ら典礼学者の著作と校訂版および関連文献の収集にあたった。 |
A |
においては、今回は、「主の降誕 日中のミサ」の入祭唱「Puer natus est」に焦点をあて、そのテキストであるイザヤ書9章5節に対するミラノ司教アンブロジウス(333/4-397)の聖書解釈を追った。この預言書の箇所をヨハネ福音書のプロローグと結びつけたところにアンブロジウスのキリスト論的解釈の特徴がみられるが、現在まで保持されている「主の降誕 日中のミサ」の福音朗読が伝統的にヨハネ福音書のプロローグであることに鑑みれば、典礼史および典礼神学的な観点からも示唆に富む見解といえる。この研究成果は『南山神学』36号において発表されることになっている(現在校正中)。
|
B |
においては、2012年7月28日〜8月4日まで開催された「エッセン・グレゴリオ聖歌国際セミナー」に参加し、グレゴリオ聖歌研究の最新の動向に学ぶとともに、この分野において先駆的に研究を進めるG. Joppichの成果の精読にも昨年に引き続き努めた。研究協力者である橋本周子氏(東京 聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所長)とともに、G. Joppichの「シュマレンバッハ・グレゴリオ聖歌セミナー」で配布されたテキスト、ならびに本年度刊行された彼の研究論文集とテキストブックの翻訳を現在企画しているところである。 |