2012年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 沢登 文治 所属 法学部
研究課題 イギリスにおける受刑者の人権保障と行刑監視体制のあり方
研究実績の概要
【研究経過】
 (1)事前調査:イギリスにおける刑務所監視体制がどのような仕組みになっているかを明確にすることを主要目的とする本研究において、まず情報収集と資料収集をできる限り実施し、全体の概要を把握した。
 (2)渡英調査:@渡英に先立ち、調査対象機関である「独立監視委員会(IMB)」とその全国調整機関である「国家評議会(NC)」に連絡を取り、面談の日程調整を重ねた。また、他の監視機関等も含めた全体的機構を構成し管理・運営する、「国家防止メカニズム(NPM)」のコーディネーターと連絡を取り面談の日程調整を行った。さらに、刑務所や行刑に関するNGO「ハワード・リーグ刑罰改革(Howard League for Penal Reform)および「刑務所研究センター(International Centre for Prison Studies)」とも連絡を取り面談の日程調整を行った。それと同時に各機関の情報収集を行い、面談時の調査項目等を精査した。
A9月に渡英し、上記各機関での聞き取り調査およびそこで提供された情報から、以下の研究結果を得ることが可能となった。
【研究結果】
 (1)「国家防止メカニズム(NPM)」について:1984年「拷問等禁止条約」および2002年「選択議定書」を批准したイギリス(正確にはイングランドおよびウェールズ)は、スコットランドおよび北アイルランドとともにNPMを構成する義務を負い、全部で18の機関をこれに該当する機関と指定した。そのうちで特に重要なのが「刑務所査察局(Prison Inspectorate)」および、先述「独立監視委員会(IMB)」と「国家評議会(NC)」である。
 (2)これら三つの機関、および、NPMに指定されなかったが刑務所監視機関としてかねてより重要性を認められてきた「刑務所オンブズマン」の異同等について、明確にすることができた。すなわち、「刑務所査察局」は定期的にプロの査察官が全刑務所を視察し一定事項につき点検をするが、IMBは無給のボランティア委員で各刑務所に設置されている。またそのように全国に150以上あるIMBを統括する機関がNCであり、全国的視点からの情報提供や、視察の質をある程度全国均一的に保持するために研修等を実施する。これに対して「刑務所オンブズマン」は、受刑者からの苦情等に基づき視察や面談、また死亡事件については全件調査を実施するが、そのように活動が受動的契機による点が、NPMの構成要件(自発的能動的な予防機能)を満たさないとの理由で、NPMの指定を受けなかったことが明確となった。わが国の視察委員会のあり方との比較と改革案が今後の課題である。
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@ 論文題目 イギリスにおける受刑者人権保障と刑務所監視体制 @ 書名  
雑誌名 南山法学 論文名  
巻号 36巻3/4合併号 出版社  
発行年月 2013年9月 出版年月  
ページ p.333-383(51p.) ページ  
著者名 沢登文治 著者名  
備考 2013年9月 備考  
A 論文題目   A 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
発行年月   出版年月  
ページ   ページ  
著者名   著者名  
備考   備考  
B 論文題目   B 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
発行年月   出版年月  
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著者名   著者名  
備考   備考