2012年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 鶴見 哲也 所属 総合政策学部
研究課題 コンパクトシティ構想が主観的幸福度に及ぼす影響に関する研究
研究実績の概要
 人々の暮らしの状況、すなわち交通手段や利用可能な店などの様々な要素は、人々が快適な生活をおくるためには重要な存在であると考えられる。こうした居住地域の環境は、幸福度に統計的に有意に影響を与える可能性が先行研究で示唆されている。たとえばBalducci and Checchi(2009)は世界10都市(トロント、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ストックホルム、ミラノ、北京、ソウル、東京)でそれぞれ1,000人程度からアンケートを採取し、幸福度と住環境の関係性を検証し、Living conditions(transports, availability of shops, parks)およびCommunity Life(meeting with friends and neighbours, volunteering and social activities)が統計的に有意に幸福度に影響を及ぼすことが示されている。本研究は利便性指標をGISを用いて作成し、回帰モデルに導入した。具体的には、平成17年度国勢調査のデータを使用し、以下の5つの利便性指標を作成している。1)生活利便施設数(居住地の住所から半径2キロメートル圏内:小売店数)、 2)生活利便施設数(居住地の住所から半径2キロメートル圏内:レストラン数)、3)最寄りの公共文化施設までの距離、4)最寄りの鉄道の駅までの距離、5)最寄りのバス停までの距離である。
 また、Balducci and Checchi(2009)において統計的に有意に幸福度を上昇させると示唆されているCommunity Lifeに関連し、普段から相談できる人が周りにいるかどうかについて尋ねることで指標化し、回帰モデルに導入した。さらに、上記利便性指標で考慮しきれない要因を取り除く目的で、居住地における町丁字レベルの人口密度データを上述の国勢調査より用いる他、都道府県ダミーもコントロール変数として考慮した。
 分析の結果、利便性指標については統計的に有意な結果が得られていない一方で、相談できる相手が存在することは統計的に有意に幸福度を増大させることが示唆された。
 また、別研究として本研究の予算により導入したPCおよびGISソフトを用い、世界各国の土地利用データから各国の緑被率を独自に計算し、経済発展と住環境(緑被率)の関係性について環境クズネッツ曲線仮説の文脈から分析を行った。分析の結果、仮説の成立は頑健ではないことが見出されたが、この推計結果は先行研究で用いられている森林データの信頼性が疑われる状況においては一定の学術的な貢献を有すると考えられる。
「雑誌」の部 「図書」の部
@ 論文題目 経済発展と森林―環境クズネッツ曲線仮説の検討― @ 書名  
雑誌名 南山経済研究 論文名  
巻号 第27巻第3号 出版社  
発行年月 2013年3月 出版年月  
ページ 211-220 ページ  
著者名 鶴見哲也 著者名  
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A 論文題目   A 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
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B 論文題目   B 書名  
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