【研究経過】 |
I. 大学生の自閉症スペクトラム認識調査
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@. 南山大学瀬戸キャンパスならびに愛知淑徳大学長久手キャンパスの学生のうち、書面にて調査概要を説明した後、参加協力の同意を得られた者を対象者とする無記名の質問票調査を実施し、集団として統計学的な分析を行った。 |
II. 軽度発達障がい小学生を対象とする大学生による個別学習支援方法の開発
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@. 本研究課題への参加を希望した上記の両大学の教職課程にある学生(計15名)に対し、児童精神医学の専門家による発達障がいについてのレクチャーを行った。現在、研究責任者ならびに参加学生は、発達障がいの特性を踏まえた英語・算数・国語・体育の学習支援方法を検討し、プログラム化している。
A. 調査参加児童ならびにその保護者との質問紙ならびに面接調査を開始し、データを収集している。 |
【研究結果】 |
I. 大学生の自閉症スペクトラム認識調査 |
○ 発達障害についての主観的知識レベル
教職課程にある者(E)とない者(NE)では、ADHD、アスペルガー症候群、高機能自閉症については、Eの方がNEよりも有意に知識レベルが高いと認識していた。一方、広汎性発達障害、自閉症、学習障害については、EとNE間に有意差はなかった。
○ 自閉症スペクトラムについての客観的知識
しかし、自閉症の要因などについての項目では、「自閉症はこころの病である」という設問(P<0.0001)以外(たとえば「自閉症の原因は脳機能障害である」、「自閉症になるのは、親の育て方が悪いからだ」「自閉症とは、家に閉じこもりがちの人のことだ」など)では、NとNE間に有意差を認めず、たとえ教職課程にある学生であっても発達障がいについての知識は低いことが示唆された。
教職課程にある学生が卒後に教員として採用されることを考慮すると、発達障害についての総論的知識をはじめ、教育現場での対応方法について、大学でより適切な教育を受けることが重要であると考えられた。 |
II. 軽度発達障がい小学生を対象とする大学生による個別学習支援方法の開発 |
現在は、データを収集中である。また、調査参加学生らは、軽度発達障がい児童との実際の関わりを通して、軽度発達障がいの特性を習得しながら、各児童に合わせた授業プログラムの構築を進めている。 |