本研究は2010年度科学研究費補助金(日本古写本「単経音義」における俗字研究)の一環である。研究実績の概要は、以下の通り。 |
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本年度の主要研究項目は、上海師範大学の陳五雲教授及び南京暁荘学院の苗c講師との共同研究をしてきた『「新訳華厳経音義私記」俗字研究』であり、すでに脱稿し、北京の新世界出版社に原稿を提出した。字数約35万、合計9章から成り、その中私が7章受け持った。現在迄、四校を経て、出版社による最終審査が終わり次第、出版される予定である。 |
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2012年10月12日より15日まで、韓国交通大学と海印寺にて、仏教文献研究及び第六回
仏教言語学国際学術検討会が開催された。私はこの会議の発起人でもあり、会の関連事務にも携わった。これ以外、私は、「從両種海外古写本『華厳経』資料考察則天文字在海外之流傳」と題する論文を発表した。
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B |
. 上記1所述の研究課題以外、平安時代中期の興福寺の学僧中算の『妙法蓮華経釈文』
における訓詁の研究にも手を伸ばした。同書にて、他の文献からの引書は非常に多くあ
り、その数はおよそ二百五十点にも及ぶ。しかし、原書は散逸してしまい、完本は目賭し得ない。そのため、中算の『妙法蓮華経釈文』は、残された貴重な資料であり、それをベースにしての輯佚作業は、漢字訓詁、古藉研究等にとって、非常に重要である。私は、「『法華経釈文』與漢字研究—以仲算“今案”為中心」と題する論文を書き、南山大学『アカデミア』文学・語学第93号に投稿した。また、これ以外、「新羅僧順憬殘存音義考—以『法華経釈文』為中心」という論文をMOVING FORWARD — International Symposium on Chinese Linguistics and Philology In Celebration of the 50th Anniversary of The Department of Chinese Language and Literature, the Chinese University of Hong Kong (December 17-18, 2012, Hong Kong)にて発表し、現在論文集編集委員会による論文審査を受けている。
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C |
. 最後に、「四部日本古寫本佛経音義述評」と題する論文を書き、南京大学域外漢籍研
究所主編の『域外漢籍研究』に投稿、既に審査が終わり、現在編輯中である。
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