本研究では,Webを用いたソフトウェア開発環境(以下,WebIDEと呼ぶ)の構築方法ならびに教育への利用方法について研究を行った.本研究の実施に関連してHTMLの書換え支援や,プログラミング演習の支援などについての研究を論文として発表した.
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WebIDEの機能は,アカウント管理,ファイル管理,ソースプログラム編集,コンパイル,実行,各種履歴の取得・保存などが挙げられる.これらの機能をもったWebIDEを試作し,実際に使用したところ,次の課題が明らかになった.
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使いやすさ(編集やコンパイルはローカルな開発環境と比べて遜色なく行える) |
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スケーラビリティ(学生が増えた場合でも十分な実行速度で処理が行える) |
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セキュリティ(悪意のあるプログラムの実行を防ぐ.資源の浪費を防ぐ) |
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拡張容易性(教育支援のための機能などが容易に追加できる) |
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今後,これらの要求を満足するために,ソフトウェアアーキテクチャやデザインパターンなどを用いて,WebIDEを改良していく.
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WebIDEをプログラミングの授業などで活用して,教育を支援する方法について考察を行った.学生はWebIDE上でプログラムを作成し,コンパイル・実行を行う.プログラムの作成において,WebIDEが自動的に作成途中のプログラムを取得・保存し,それを分析して,教員に学生の進捗状況を提示する.WebIDEではソースプログラムだけでなく,コンパイルのエラー履歴やプログラムを実行したときの入力値なども保存することができる.その情報を分析することで,コンパイルエラーをどのように修正したか,実行時の入力はプログラムのパスを考慮しているかなどを把握することができる.ソースプログラムの取得については,一定時間毎に定期的に取得する方法,Enterキーやスペースキーなどの字句の区切りを入力した後に取得する方法などが考えられる.今後,教育支援機能をWebIDE上に実現していく.
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