2012年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 池田 亮一 所属 ビジネス研究科
研究課題 消費財を2財に拡張したCCAPMによるリスクプレミアムに関する研究
研究実績の概要
 ファイナンスでは株式や債券の期待リターンを消費の分布から説明する研究が長年に渡り数多くなされており,そのモデルは消費CAPMと呼ばれる。近年では、消費を耐久材と非耐久財の二種類に拡張した2財の消費CAPMが注目されており、そのモデルによって長年の課題とされてきた株式プレミアムパズルを解くことができるとされている.
 本研究では研究があまりなされていない利子率に焦点を当て、実証分析と理論において以下のような乖離を説明することを目的とした.このテーマは2011年度のテーマの発展版である.2011年度のテーマはでは非耐久財の他に耐久財を導入し消費財を2財とした消費ベースモデルによって,2財の代替弾力性が異時点間の消費の代替弾力性(IES)よりも低いなどの条件の下では実質期待イールドカーブが右上がりになることを数値計算によって示している.
 本年度の研究は,耐久財と消費財を導入した消費ベースモデルの下で米国の名目利子率のデータを用いてカリブレーションを行い,名目利子率の期間構造がどのように説明されるかをテーマとした.その結果,耐久財に対する選好が高く,また2財の代替弾力性が1前後とした投資家を仮定したとき,IESは2財の代替弾力性よりも有意に高くなる.そして,その下で実質利子率の期間構造は平均的に右上がりとなり,インフレのリスクプレミアムはほぼ同じ値となった.すなわち,名目利子率の長短スプレッドは実質利子率のそれと同じ意味であることが示されたことになる.
ただし,モデルによる理論値と実データには依然として乖離が存在する.モデルでは名目平均イールドカーブと,短期名目利子率の,非耐久財の消費に対する感応度に同時に合わせることには成功しているが,耐久財の消費に対する感応度については符号(負)である点では一致しているものの,その値まで合わせることには失敗している.
また,モデルが示唆する名目金利の標準偏差は現実のデータと比べて非常に低い.特に長期の金利で過小評価がされており,今後長期名目金利がなぜ短期と同程度に変動するのかを説明することも今後の課題としたい.

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@ 論文題目 Analysis of the Term Structure of Interest Rates by a Consumption-Based Model” @ 書名  
雑誌名 Proc. of 2012 Conference on East Asia Finance: Crisis and Recovery of Financial Markets 論文名  
巻号   出版社  
発行年月 2012年5月 出版年月
ページ 34ページ ページ  
著者名 池田亮一 著者名
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A 論文題目   A 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
発行年月   出版年月  
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著者名   著者名  
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B 論文題目   B 書名  
雑誌名   論文名  
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著者名   著者名  
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