2012年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 白石 高章 所属 情報理工学部情報システム数理学科
研究課題 統計的多重比較法の数理的研究
研究実績の概要
 
多群の2項モデルとポアソンモデルにおいて,すべての母数に関しての多重比較法について論じた.はじめに, 2項分布に従う確率変数の上側確率と下側確率をF分布の確率で表現するとともに,事象の同等性も述べ,多重比較法の理論を簡潔にするための表現を行った.この理論を基に,2項モデルに対して,F分布の上側100α%点を使って正確に保守的なシングルステップの多重比較検定を構築することができることを示した.この場合,正則条件を明らかにし,さらに,検出力の高い正確な手法も提案した。シングルステップのこの理論を使って更に検出力の高いマルチステップの閉検定手順を述べた.1群モデルに対しても正確に保守的な手法の理論の正則条件を述べている文献はないので,正則条件を明記した.以上は小標本の理論である。大標本理論として,さらにシングルステップの漸近的な多重比較法を述べ,漸近的な閉検定手順として手順が楽な逐次棄却型検定を論じた.この場合,逆正弦変換が使われた。
 もう1つのポアソンモデルに対して,カイ自乗分布の上側100α%点を確率変数とし,その確率変数の関数がある領域に入る確率がポアソン分布の分布関数で表現するとともに,事象の同等性も述べ,多重比較法の理論を簡潔にするための表現を行った.正則条件も明らかにした。これにより正確に保守的なシングルステップの多重比較検定法を論じることができた.カイ自乗分布の上側100α%点を使って,正確に保守的なシングルステップの多重比較法を論じた.ポアソンモデルの場合にも,多群2項モデルにおける母比率のすべてに関しての多重比較法と同様の漸近理論を構築することができた.
 2項モデルとポアソンモデルいずれの場合も,逐次棄却型検定法の棄却域がシングルステップ法の棄却域を含んでいることが示せた.これにより,次の(i)から(iii)が解明できた. (i) シングルステップ法よりも,逐次棄却型検定法の方が一様に検出力が高い.(ii) シングルステップ法で棄却されない帰無仮説も逐次棄却型検定法を使えば棄却されることがある.(iii) 逐次棄却型検定法で棄却されない帰無仮説は,シングルステップ法を使っても棄却されない.
(i)から(iii)の事実があるが,どのくらい逐次棄却型検定法がシングルステップ法よりも検出力が高いかを見るためにシミュレーションを行った.
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@ 論文題目 多群の2項モデルとポアソンモデルにおけるすべてのパラメータの多重比較法 @ 書名 統計科学の基礎
雑誌名 日本統計学会誌 論文名  
巻号 42巻1号 出版社 日本評論社
発行年月 2012年9月 出版年月 2012年10月
ページ 55-90 ページ 272頁
著者名 白石高章 著者名 白石高章
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A 論文題目   A 書名  
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B 論文題目   B 書名  
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