2013年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 渡部 森哉 所属 人文学部人類文化学科
研究課題 先史アンデスにおける構造
研究実績の概要
 
 先スペイン期アンデスにおける構造を扱った拙著『インカ帝国の成立』(2010年3月刊行)第II部のスペイン語訳をし、合わせて必要な改訂、増補を行った。2013年8月までにネイティブ・チェックを終え、脱稿した。
 『Estuructura en los Andes Antiguos』では、アンデス文明形成期(3000-50B.C.)の二つの大神殿である、クントゥル・ワシ、チャビン・デ・ワンタルにおける構造モデルを抽出し、同モデルをティワナク遺跡(A.D.600-1100)、及びインカ帝国(A.D. 1400-1532)の首都クスコにも適用できることを実証的に論じた。図像、建築、墓などの考古学データを利用し、またインカ帝国については植民に時代に残されたスペイン語の史料を分析した。また、4つの事例研究をふまえ、アンデスの構造を説明するための「四面体モデル」を提唱した。
 本書には、考古学データ、及び植民地時代の史料を読み直す際に導きの糸となるヒントをちりばめている。今後他の研究者が本書の内容を参考にすることでアンデス研究が進展することを期待したい。
 また旧世界では双子が同一と見なされるが、新世界アメリカ大陸では、決して同一化できないと考えられることをレヴィ=ストロースが指摘しているが、同事故とがアンデスに認められることを本書で論じ、この研究がより大きなテーマに接合していることを示した。先スペイン期の考古学データを見直し、この特徴がどこまで遡るかを今後検討する必要がある。
 無文字社会においては口頭伝承の他、図像や建築の配置を記憶の媒体とすることが知られており、また情報伝達のためには規格化された型があることが知られている。その型が研究者の間で「構造」として認識される。アンデスは無文字世界でありながら、文明社会・国家を形成した唯一の事例として知られており、それを可能にしたメカニズムをあきらかにすることにも本書が一助となるであろう。
 
「雑誌」の部 「図書」の部
@ 論文題目   @ 書名 Estructura en los Andes Antiguos
雑誌名   論文名  
巻号   出版社 Shumpusya
発行年月   出版年月 2013年9月
ページ   ページ 計302ページ
著者名   著者名 Watanabe, Shinya
備考   備考  
A 論文題目   A 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
発行年月   出版年月  
ページ   ページ  
著者名   著者名  
備考   備考  
B 論文題目   B 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
発行年月   出版年月  
ページ   ページ  
著者名   著者名  
備考   備考