2013年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 後藤 明 所属 人文学部人類文化学科
研究課題 オセアニアとその周辺地域の海上運搬手段の再検討
研究実績の概要
 今回の研究では太平洋における人類移動で使われたであろう原初的な舟について人類学的な考察を行った。8月にはチリ国ラパヌイ(イースター島)に赴き、ラノララク湖に生息する葦の一種を確認した。民族誌ではこの植物は葦船に使われ、同種の葦は南米のチチカカ湖などの葦船の材料ともなる。またラパヌイではモアイ像の胴体に彫られた舟と思われる図像の確認を行った。またラパヌイ博物館において発掘された遺物や民族資料の中で舟や海上移動のヒントになるものを確認した。とくに数の多いカヌーとされる岩絵はその形状からむしろ葦船ではないかという新見解を提示した。ラパヌイ調査旅費はPache助成金から支出したものである。
 10月に完成した沖縄海洋博覧会記念公園内海洋文化館の新展示では筆者は総合監修者を務めたが、博物館に展示する舟資料の参考に多くの映像が収められている。その中には筆者が提案して専門の映像作家が作成したラパヌイの葦舟ないし葦浮きに関する貴重な映像が含まれている。
 またこれと関連して、神奈川大学国際常民文化研究所の共同研究「環太平洋海域における伝統的造船技術の比較研究」は筆者を代表者として本年度で5ヶ年の研究が終了する。その最終報告書に筆者が執筆した「環太平洋海域の原初的造船についてーー熱帯域の船殻を中心に」ではラパヌイ他、南米の葦船についても言及しているが、その部分の執筆にはPache助成金の研究のために購入した文献が駆使されている。
 さらに予備研究として国立科学博物館および沖縄県立博物館の研究者が中心となって進めている琉球列島最古の航海者プロジェクトでは、旧石器時代に作り得た原初的な舟として筆者の提案した竹筏と葦船が最有力候補となり、本格調査のための予算申請が計画中である。このプロジェクトのために南米のチチカカ湖で葦船作りを習得してきた石川仁氏らを招いた研究会を筆者が主催して南山大学人類学研究所で行った。このさいの筆者によるプレゼンテーションでも上記Pache研究助成の成果が含まれている。
「雑誌」の部 「図書」の部
@ 論文題目   @ 書名 神話・象徴・図像
雑誌名   論文名 ラパヌイを巡る舟の問題:とくに葦船について
巻号   出版社 楽瑯書店
発行年月   出版年月 2013年12月25日
ページ   ページ 49-65
著者名   著者名 後藤 明
備考   備考  
A 論文題目   A 書名 科学研究費補助金新学術領域
「交替劇」2013年度研究報告
雑誌名   論文名 現代のモノ作り論からみた技術と学習に関する研究ノート
巻号   出版社 協和印刷
発行年月   出版年月 2014年3月
ページ   ページ 87-114
著者名   著者名 後藤 明
備考   備考  
B 論文題目   B 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
発行年月   出版年月  
ページ   ページ  
著者名   著者名  
備考   備考