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2013年度 パッヘ研究奨励金T-A-1(特定研究助成・特別)研究成果報告書 |
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氏名 |
梅垣 宏嗣 |
所属 |
経済学部経済学科 |
研究課題 |
戦間期イギリスの国民健康保険制度をめぐる
「制度的包括性」と「個人の自律性」の関係
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研究の種類 |
個人 |
共同研究者 |
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研究実績の概要 |
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本研究は、国家福祉制度の運営局面において民間組織が直接活用された歴史的事例として、イギリス国民健康保険制度(1911〜46年)の運営体制である認可組合制度を、「制度的包括性」と「個人の自律性」の関係という視点から論究したものである。認可組合制度とは、国保運営機関として認可された各種の民間組織、すなわち認可組合が、そこに加入する被保険者自身による自治を以て保険運営を遂行していくことを理想とした制度であった。こうした認可組合制度に関して本研究では、ハーツ・オヴ・オーク(代表的な中央集権型友愛組合)、オッドフェローズ、フォレスターズ、レカバイツ(それぞれ代表的な支部連合型友愛組合)、簡易生命保険会社といった各種認可組合を主な対象として採り上げ分析し、以下の事実を明らかにした。
まず認可組合自治の表象たる組合会合については、簡易生命保険会社が組合会合の定期的な開催に極めて消極的であったのに対して、支部連合型友愛組合は積極的に開催していた。だが、簡易生命保険会社が積極的に(時には強引に)被保険者を包摂していったのに対して、支部連合型友愛組合には排他的な傾向が見られた(例えば禁酒組合という特殊なアイデンティティを持つレカバイツにとって、排他性はつきものであった)。すなわち、自律性と包括性とがトレードオフの関係にあった。
次に認可組合内の親密性(そしてその裏にある監視性)の表象たる疾病訪問サービス(認可組合から派遣される疾病訪問人が、直接被保険者の家庭を訪問し、疾病給付を支給するというサービス)については、支部連合型友愛組合、簡易生命保険会社ともに積極的に取り組んでいた。しかし、支部連合型友愛組合における疾病訪問サービスが、労働者相互の親密性(および監視性)に由来するものであったのに対して、簡易生命保険会社における疾病訪問サービスは、会社と顧客の関係の延長線上にあった。
そして、こうした認可組合間に見られた相違には、各組合の19世紀における民間組織としてのあり方やその成り立ちが極めて濃厚に反映されていた。すなわちイギリス国民健康保険制度(1911〜46年)は、各民間組織が19世紀以来保持してきた独自性の発露される場でもあったのであり、既存研究で描かれてきたような自治の形骸化や官僚主義化といったイメージだけでは語りえない、多面性・重層性を有していたのである。
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「雑誌」の部 |
「図書」の部 |
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論文題目 |
両大戦間期イギリス国民健康保険制度における認可組合自治と被保険者選択 |
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書名 |
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雑誌名 |
南山経済研究 |
論文名 |
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巻号 |
第28巻 第3号 |
出版社 |
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発行年月 |
2014年3月 |
出版年月 |
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ページ |
pp.245-264 |
ページ |
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著者名 |
梅垣宏嗣 |
著者名 |
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備考 |
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備考 |
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A |
論文題目 |
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