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研究計画の中では研究対象とする言語がいくつか挙げたが、最終的には中国語の研究に関してまとまった成果が得られたことを報告する。
これまでの研究では明らかになっていなかった、V2がアスペクトを表すタイプの統語構造について論文『中国語の連動詞構文の意味と構造』を「複雑述語研究の現在」より出版した。このテーマは中国語の言語研究の中でも最もメジャーなトピックであり、1980年代より理論言語学に枠組みにおいて中国内外の様々な言語学者が挑戦してきた。その中でこれまで指摘されていない事実を列挙し理論分析できたことは非常に大きな成果といえる。出版された本はMITで行われていた述語研究を受けたものであり、日本国内を主としながらも海外の研究者も参加した、述語研究の最先端をいく本(論文集)となっている。寄稿者も現在最先端で活躍している言語学者が顔を連ねており学術的に意義ある本となっている。
本年はI-A-2の助成によりベトナムに研究に行った。ここでの活動内容はI-A-2出張報告書に詳しいが、このベトナム語の研究が中国語の研究にも役立っていることをここで述べる。報告者は言語類型論を専門としており、ある言語をそれだけのものとしては観察しない。言語とは全人間のもつものであり、(ある)言語を分析するためにも様々な言語を分析し比較することでのみ本来の姿がみえると考えている。報告者は以前にタイ語のV2について研究し論文にまとめている。中国語のV2を研究する上で地理的にも中国とタイの間付近に位置するベトナムでのV2の振る舞いを観察・分析することは重要であった。
本研究奨励金により中国語の言語事実の理解に関して新たな発見があった。今後の課題としては、当該分野(2次述語研究)におけるさらなる理論分析、そしてその過程で処理の必要な周辺的言語事実(例えば項構造、格の認可等)のデータ収集および理論的分析があげられる。
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