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当初の予定通り、文献調査を行った上で、9月5日から13日にかけて現地調査のための出張を行った。出張先では以下の通り、言語政策関係機関の担当者への聞き取りを行い、資料収集を行った。
マドリード市にあるCsaa de Galicia (ガリシアの家:Calle Casado del Alisal, nº 8)においては、ガリシア語授業担当者であるCarme Lamela Villaravid氏および広報担当のRosa Figueroa氏と面会し、マドリード市におけるガリシア語授業の実施状況や、経緯、課題について聞き取り調査を行った。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ市にあるArquivo de Emigración(移民資料保存研究所:Cidade da Cultura de Galicia Edificio da Biblioteca de Galicia, 1º andar Monte Gaiás, s/n)においては、資料収集を行うとともに、María Teresa García Domínguez氏に対し施設の概要、設立経緯などについての聞き取り調査を行った。
また、サンティアゴ大学人文学部のFrancisco Fernandez Rei教授およびXosé Luis Regueira教授とInstituto da Lingua Galega(ガリシア語研究所)内において面会し、ガリシア語教育およびガリシア言語学について意見交換を行った。
以上で得られた情報をもとに、今回はガリシア語の教育とガリシア語の対外普及という観点から、インターネット等ICTを活用した少数言語回復のための取り組みについて報告すべく、論文を執筆し、査読付きの雑誌『ことばと社会』15号(三元社)に投稿した。少数言語政策という点で、ガリシアにとどまらず、他の欧州地域の事例との対照研究を行うべく、ベルギーの専門家である石部尚登氏と共同で執筆を行った。
論文では、ICTの普及により、少数言語話者や政策実施主体にとって、言語の回復と普及のための大きな可能性がもたらされたものの、ネット上においても、現実社会と同様に、あるいはそれ以上に激しい大言語との言語間の生存競争ともいえる状態にさらされているため、楽観視はできないこと等を指摘した。
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