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数年前よりフランスのベル・エポックの恐怖演劇であるグラン=ギニョル劇と同時代の諸科学の関係について研究を続けている。その目的は、一つのジャンルを同時代の諸科学や政治情勢や文化的背景の中に置き直すことで、文学・芸術・科学・政治・社会を横断する学際的研究を実践することである。
まず、グラン=ギニョル劇に関する関連資料を購入した。古書店で稀覯品の資料(ポスター)を発見したのでこれを入手した。ポスターは総合芸術としてのグラン=ギニョル劇を考える上で不可欠な資料であり、同時代の風俗の動向を知るうえでも資料価値の高いものである。
また、フランスへ国外出張を行い、フランソワ・ミッテラン国立図書館で図書・新聞・雑誌等の資料調査を行った。同時に、現地の文学研究者や演劇関係者に会って情報交換を行った。また、国内の大学図書館などでも資料調査を行った。
以上の研究により、グラン=ギニョル劇への同時代の諸科学の影響を明らかにすることができた。その成果にもとづいて『南山大学ヨーロッパ研究センター報』に論文を1篇執筆した。そこでは、中国を舞台にしたグラン=ギニョル劇を数本取り上げ、このジャンルにおける異境のイメージが当時の植民地政策にもとづくオリエンタリズムの影響下にあることを証明した。
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