2013年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 安田 忍 所属 経営学部経営学科
研究課題 特別目的事業体の連結に関する会計および監査の諸課題
研究実績の概要
 本研究課題における主たる研究目的は、企業、とりわけ特別目的事業体の連結範囲に関する例外を廃し、原則主義に基づく単一的な支配基準によって連結範囲を判断すべきことの合理性を理論的に論証することにある。
 日本の会計基準では、一定の要件を満たす特別目的事業体を特別目的会社と呼び、当該特別目的会社を連結対象から除外する特則を設けている。当該特則により連結対象から除外された子会社は「開示対象特別目的会社」とされ、報告企業は開示対象特別目的会社との取引の概要や取引金額等の開示を行わなければならない。
 これに対して国際財務報告基準では、一般的な企業であるか特別目的事業体であるかにかかわらず、すべての企業に適用される単一の支配概念を設定し、支配の有無によって連結範囲が決定される。また、連結された特別目的事業体ならびに非連結の特別目的事業体それぞれについて、報告企業の関与に関する一定の情報開示を求めている。ただし、その開示内容はそれぞれの場合によって異なり、また範囲も限定的である。
 そこで、2013年度における研究の第一として、連結、非連結それぞれの特別目的事業体に関する連結財務諸表上の情報開示に分けて検討し,現行制度が特別目的事業体に関する情報を財務諸表利用者に対して十分に開示しているといえるかどうかを考察した。その結果、連結、非連結を問わず、特別目的事業体については、要約財務情報に類する情報開示が、特別目的事業体の実態を理解するために必要であることを主張した。
 ところで上記の研究を進める中で、単一の支配基準に基づき支配企業を例外なく連結することにしていた国際財務報告基準が修正され、2014年1月1日以降、投資企業が親会社である場合、子会社を連結対象から除外し、純損益を通して公正価値で測定するよう基準改訂が行われた。そこで、2013年度における研究の第二として、連結範囲の例外を設ける投資企業の会計処理についても批判的に検討した。その結果、投資企業の子会社を連結しても子会社の公正価値情報を注記等により開示すれば,例外を設ける必要がなく、しかも、情報利用者のニーズが一層充足されるとの見方を示した。
「雑誌」の部 「図書」の部
@ 論文題目 特別目的会社(SPC)への関与の開示について @ 書名  
雑誌名 南山経営研究 論文名  
巻号 第28巻第2号 出版社  
発行年月 2013年10月 出版年月  
ページ 299-310 ページ  
著者名 安田忍 著者名  
備考   備考  
A 論文題目 投資企業の会計処理に関する予備的考察 A 書名  
雑誌名 南山経営研究 論文名  
巻号 第28巻第3号 出版社  
発行年月 2014年3月 出版年月  
ページ 463-475ページ ページ  
著者名 安田忍 著者名  
備考   備考  
B 論文題目   B 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
発行年月   出版年月  
ページ   ページ  
著者名   著者名  
備考   備考