2013年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 沢登 文治 所属 法学部法律学科
研究課題 拷問等禁止条約選択議定書批准国である英仏における行刑監視体制の相違について
研究実績の概要
1 研究経過:2013年度春学期期間
 イギリスおよびフランスにおける行刑監視体制について、予備的調査および現地との連絡・計画作りを行った。
・夏期休暇期間に、フランス、エクス・マルセイユ大学(プロバンス大学に出張して、「刑事・刑事学研究所(ISPEC)」における調査研究を行う計画と準備を行った。
・フランスの行刑監視体制の中心となる現行「自由剥奪場所統括官(le Contrôleur Général des Lieux de Privation de Liberté)」の組織的・機能的役割等について、設立の経緯・前身・法的根拠などにつき、文献研究により、基礎的知識を取得した。
2 研究経過:2013年度夏期休暇期間
 フランスに出張し、現地、エクス・マルセイユ大学(プロバンス大学)の訪問により、ISPECの所長である Muriel Giacopelli および刑事政策教授の Jean-Yves Lassalle に聞き取り調査および意見交換等を行った。また、関連の資料の収集を行った。
3 研究経過:2013年度秋学期期間
 春学期および夏期休暇期間における調査研究において入手した資料・情報・聞取りに基づき、さらに資料等の整理と読み込みから、論説の執筆を開始した。
4 研究結果:
 イギリス(イングランド・ウェールズ)における「独立監視委員会(IMB:Independent Monitoring Boards)」、その中心的組織である政府機関「国家評議会(National Council)」また「刑務所査察局(Prison Inspectorate)」が、「刑務所オンブズマン」と併存して存在することによって、多重的・広範的に行刑の監視および担当者教育を実施しているのに対して、フランスにおける行刑統制は、2007年に設置された「自由剥奪場所統括官」および2011年に設置された「権利擁護官(le Défenseur des droits)」から構成される。両者の共通点は、独立機関であり、独自に活動を公表し共和国大統領および議会にそれを提出する権限を有することである。異なる点は、後者が憲法上の機関であり、独立性の担保がそこに存在することであると同時に、その権限範囲が名称、「権利擁護官」に現わされているようにより広範である点だ。つまり、刑事施設に収容されている者の権利を擁護だけでなく、子供や老人その他移民など、フランス社会における社会的弱者の権利擁護に当ることが主眼とされる。逆にその分、刑事施設被収容者に特有の課題等については専門性が低くなるため、前者、「自由剥奪場所統括官」の存在意義が薄れるものではない。
 今後は、後者「権利擁護官」が、憲法改正によって憲法上の機関として誕生したその理由および憲法改正の目的と趣旨、さらに、実際の活動と役割についての検証が必要である。
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@ 論文題目 フランスにおける受刑者人権保障と刑務所監視体制 @ 書名  
雑誌名 南山法学 論文名  
巻号 37巻2号 出版社  
発行年月 未定 出版年月  
ページ 30頁程度 ページ  
著者名 沢登文治 著者名  
備考 2014年9月 備考  
A 論文題目   A 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
発行年月   出版年月  
ページ   ページ  
著者名   著者名  
備考   備考  
B 論文題目   B 書名  
雑誌名   論文名  
巻号   出版社  
発行年月   出版年月  
ページ   ページ  
著者名   著者名  
備考   備考