2013年度 パッヘ研究奨励金T-A-2(特定研究助成・一般)研究成果報告書

氏名 榊原 秀訓 所属 法務研究科法務専攻
研究課題 行政関係紛争における訴訟類型の交錯
研究実績の概要
 2004年の行政事件訴訟法(以下「行訴法」)改正後の処分性や訴訟類型について焦点を当てて検討を行った。まず、最高裁が、処分性を広く認めてきており、とりわけ、かつての「形式的行政処分論」を意識しつつ、山本教授が行訴法における行政処分と行政手続法における行政処分を同視することを前提に、手続的公正確保の観点から処分性拡大の正当化を図っていることから、その妥当性を分析した。また、行訴法改正によって、4条に確認訴訟が明定され、最高裁も、確認訴訟を積極的に認めてきており、処分性の拡大との関係を含め、確認訴訟の活用のあり方について活発な議論が展開されている。特定の状況においては、処分性を拡大して抗告訴訟で争うことも、処分性の拡大を図らず確認訴訟を利用することも考えられ、それぞれの訴訟の訴訟要件は異なるものの、実質的には両者の利用範囲は共通していること、さらに、いずれの類型を活用すべきか判断が困難になる場合があることから、裁判を受ける権利の保障との関係で、訴訟ルート選択を原告の責任とすることが妥当性ではないことを述べた。最後に、文脈は異なるが、大阪空港事件や厚木基地事件において、最高裁が事実行為を民事訴訟(民事差止め)で争うことを否定したため、判決の論理とともに、最高裁判決を前提にした活用すべき訴訟類型が論じられてきた。最高裁判決を前提に抗告訴訟で争う場合にも、取消訴訟以外に、義務付け訴訟や差止訴訟が提案されており、処分性として、個々の行政処分権限の束として公権力の行使を理解するのか、権力的継続的事実関係として公権力の行使を理解するのかによって、争い方に相違があることを明らかにし、また、民事訴訟・当事者訴訟で争うことを考えた場合、差止訴訟ではなく、確認訴訟が可能か、また、特定の対応・特定の行為を求めて訴訟を提起する場合、果たして公権力の行使にかかわらない対応・行為が存在するかについて検討した。民事訴訟法研究者の議論も参考にしつつ、抗告訴訟においても、民事訴訟・当事者訴訟においても、確認訴訟を基礎に置き、それに例えば取消といった法的効果を付加するという発想が、行政法研究者において広がりつつある現状を確認できた。
「雑誌」の部 「図書」の部
@ 論文題目 「公法紛争における訴訟類型の交錯―形式的行政処分論議のリバイバルを中心として」 @ 書名  
雑誌名 法律時報 論文名  
巻号 85巻10号 出版社  
発行年月 2013年9月 出版年月  
ページ 4頁〜9頁 ページ  
著者名 榊原秀訓 著者名  
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A 論文題目   A 書名  
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巻号   出版社  
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著者名   著者名  
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B 論文題目   B 書名  
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巻号   出版社  
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