|
|
長期間にわたって利用されるソフトウェアは,機能の改良や機能追加を通じて徐々にその規模を大きくしていく.それにつれて複雑していくソフトウェアの内部構造の成長過程を理解することは,開発者がどのようにソフトウェアを保守工程で扱っているかを理解するのに役立つと考えている.本研究では,そのようなソフトウェアが巨大化していく過程で,どのように利用関係やコードクローンに関する関係が変化していくかを分析することを目的として研究を行った。本研究において得られた成果は次の2つである. |
|
1:利用関係増加の推移の傾向が他の事例でも見られるか
いくつかのソフトウェアを題材に,過去で得られた結果と似た傾向が得られることを確認した。なぜそれらの結果が得られたかについてより詳細な分析を行ったところ,利用関係の増加は主に新規に追加された部品によってもたらされるもので,その際に追加される部品の利用関係の本数の分布も時期を通じてあまり変わらないことがわかった。
|
|
2:利用関係やクローン関係の変化の推移を表示するツールについて
分析された各バージョンの結果を,視覚的に表示することで,情報を効果的に共有できるようなツールを作成した。それらをもとに実際のプロジェクトに対して適用することを3年生向けに演習IIにおいて行ったところ,学生が実際に分析できるような環境であることが確認できた.
|
|
当初投稿予定であった国際会議は,2013年12月に行われるAPSEC(アジア太平洋ソフトウェア工学会議)であった。過去の研究をベースに1の内容が中心となるように追加して投稿したが,残念ながら不採録であった。そこで,2014年3月に開催された電子情報通信学会総合大会 にて2の内容を中心として利用関係やクローン関係の変化の推移を表示するツールについての論文を作成・投稿し,発表を行った。
今後の方向性として,以下のことを確認できた。
|
|
● |
これらのツールを用いて利用関係やコードクローンなどのメトリクスに基づいた
品質のコントロールに利用することができそうであること |
● |
これらのグラフにおける特徴的な点は,現状は分析のためのきっかけとなる部分である。現状では,すぐ何か悪いとかいうことを断言できる状況ではなく,今後分析する必要がある。それらの結果をもとに,判定作業などの自動化をおこなうような支援ツールとして発展させることが求められる。 |
以上のような今研究における成果は,来年度以降の研究に向けての足掛かりとなると考えている。 |
|