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大都市の道路は混雑しており,道路の不足あるいは自動車交通から公共交通機関への転換が課題となっている.田舎の道路はたいていすいている.しかし,もし自動車がほとんど走っていないからと道路を撤去したならば,田舎の住民は大きな迂回を余儀なくされるに違いない.
地域がコンパクトであるためには,道路はどのくらい用意すべきなのか?地域の道路量の多寡を他の地域と比較するにはどうすればよいか?このような疑問に対する答えのひとつが「国土係数理論」である.国土係数理論とは,「道路密度は人口密度の平方根に比例する」というものである.これを数式で記述すると,ある地域の面積をS,人口をP,地域内の幹線道路総延長をL,比例定数をαとして,L / S = α√P/S となる.この両辺をS倍すれば
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L = α√PS (1)
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となり,国土係数理論は「地域の道路の長さは人口と面積の積の平方根に比例する」と言い換えられる.α = L / √PS は国土係数と呼ばれる.
本研究は,格子状幹線道路網を持つ正方形都市モデルを用いて国土係数理論を解釈し,(1)が地域内移動に関する単純な仮定の下で住民の費用便益分析から導出できることを示す.次にこれを日本,イギリス,アメリカに適用を試みる.日本の地域別道路総延長を他国と比較することによって,我が国の道路の整備水準について考察する.
分析の結果,3カ国とも当てはまりはよく,国土係数理論がこれらの国で適用可能であることを示すことができた.
国土係数理論が成り立っていることは,その地域に無駄な道路が少なく,面積と人口に応じて適切に道路が形成されていることを示している.
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