|
申請当初掲げた研究目的は、次の通りであった。「大学英語教育のこれまでのあり方を検討し、1・2 年生向け授業を見直す。そのために1)高大接続・連携、2)資格対策英語授業、3)質的転換を体現する観点から研究する(申請書より縮約して表記)。」
2011〜12年度にかけて、(旧)南山短期大学とは異なる学力・学習目的を持つ学生の入学があり、授業運営をそれまでとは質的に変更する必要が生じた。具体的には、入試結果から読み取れる英語成績の向上と編入学を目的とする入学動機を持つ者の増加である。 2013年度の授業計画を立案するに当たり、この点を十分に考慮して担当する授業シラバスを作成した。「Reading in English」「Presentation in English」ともに文学作品を扱う教科書を用意し、難度も中級程度まで引き上げて、授業に臨んだ。その結果明らかになったのは、1年、2年ともに@物語文の読解授業に難渋する学生が続出した、A高校までに英米の歴史、英語の歴史、文化、地理などの知識が著しく少ない、B真の意味でのグループ作業が不得意である、の3点である。
学生の多くは「話せるようになりたい」と望みながら入試準備を優先するという図式は(旧)南山短期大学時代と変わらぬ印象がある。しかし、決定的に違うのではないかと思われたのは、してきた入試準備が大学で授業を受けて将来に備えるという目的に必ずしもつながらないということである。受験準備内容の変化なのか、入学者自体の変質なのか、明確な解答はない。入試問題演習を数多くこなし、それなりの点数を取り入学しかも知れないが、英語で何かを伝えることが適切にできず、英語圏についての知識に乏しく、協同学習が不得手である。
「Readers Theatre大学英語授業の実際」は、Readers Theatre(RT)を通して外国語(英語)学習が進められるように、各学習プロセスを詳述した。これにより、英語により著者の伝えるメッセージを表現する、読解プロセスを経てスキーマに関する知識を得る、さらに最初から最後まで個人学習に頼り過ぎることなく、チームで助け合いかつ自分が貢献できる喜びを経験しながら学習するという「仕組み」ができた。今後の課題として、この仕組みを利用した授業実践を積み重ねて、学生の成長を質的に研究することである。
|
|
|