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南山大学という「学び舎」で共に学ぶためのガイド
2025.03.27
南山大学という「学び舎」で共に学ぶためのガイド
NANZAN Way of Learning
-How to Nurture NANZAN Mind-
このガイドは、南山大学で卒業を目指して学ぶすべての学生のみなさんが、南山大学で何を手掛かりに学んでいけばよいのかを確認するためのものです。そして、このガイドは、学生たちの大学での学修に伴走するすべての教職員のみなさんにとっても、それぞれの役割と責任を考えるために役立つでしょう。自分たちの出発点を確認するために、折に触れて参照してください。
高校までの学びと南山大学での学びの違いとは?
みなさんは、「生徒」と「学生」の違いについて考えたことがあるでしょうか?「生徒」は、先生から習う人、「学生」は、先生とともに自ら問いを立てて学ぶ人です。そのため、高校までの「学習」に対して、大学でみなさんが取り組む活動は「学問」と呼ばれます。
小中高の学校では、教員免許をもった先生が、国の定めた学習指導要領に従って、国の定めた教科書に即した授業を行って成績を評価します。それに対して大学では、博士号などの学位をもった研究者や実務家が先生として、自身の学術研究や実務経験などの実績のもとに、教育内容そのものを自身で開発しながら授業を行って成績を評価します。(実際、教科書を自分で書いている先生もたくさんいます。)言ってみれば、大学で授業を受けているとき、学生のみなさんは知の最前線にいるのです。最前線で学ぶのですから、学んでいる学生自身も、自分が何をどこまで学んでいるのかを自覚していなければ、途端に迷子になってしまいます。さらに、授業をしている先生自身も、知の最前線にいるわけですから、学生のみなさんより幾らか先輩とはいえ、現在進行形の学問に取り組む探究者としては学生のみなさんと本質的には対等です。つまり、「学生」のみなさんは、先生とともに自ら問いを立てて学ぶ人、いわば小さな研究者なのです。
12世紀のヨーロッパで大学が生まれた時、学生たちは、自分たちの学びたいことを求めて、それに関する学識をもつ人を探し、先生として雇って学んでいました。それは世界中の大学の原点であり、現代の南山大学に通うみなさんも、先生とともに自ら問いを立てて学ぶ人=学生として、自分自身が学びたいことを探り、今自分が何を学んでいるのかを自覚して、その軸のもとに自分を育んでいきましょう。
南山大学を卒業する時に自分が身につけている力とは?
みなさんは南山大学の「DP」を知っているでしょうか?「DP」とは、ディプロマ・ポリシーの略語です。ディプロマとは大学での学びを終えた証であり、正式には学位のことです。そして、ディプロマ・ポリシーとは、学位を授与するための方針です。この方針には、南山大学の教育理念と目的のもと、南山大学で学んで卒業し学位を授与された人であれば必ず身につけている、と大学が社会に対して保証する力が示されています。授業を担当する先生は、授業ごとに設定された「到達目標」が、「DP」に示された力を育むことにつながっているかを意識しなければなりません。他方、授業で学ぶ学生は、今自分が何のために学んでいるかについて、「DP」に示された力を参考に意識しなければなりません。ですから、「DP」は、先生とともに学生が育むべき力を示した、南山大学で学ぶうえでの道標と言えるでしょう。そして、みなさんが卒業した後、南山大学で身につけた力を説明するために「DP」を参照することができます。
「DP」は、大学の外から与えられたものではなく、南山大学が南山大学の学生のみなさんのためだけに自分たちで定めた独自の道標です。どの学部で学んでも、南山大学の教育モットーである「人間の尊厳のために」や、南山大学のアイデンティティである国際性が意識されたものになっています。先ほど述べたように、大学は知の最前線であり、各大学はそれぞれの理念に基づいて学びの場を提供しています。そこで何が起こるのかを理解できるのは、大学だけであり、それを体験できるのは、大学で学ぶ学生のみなさんだけなのです。
なお、卒業までの間、今自分が出席している授業で身につけられる力について知るのに、授業科目と「DP」に示された力の対応関係を示す「カリキュラムマップ」が役に立ちます。また、卒業に向かってどのような授業を受けてどんな力が身についていくのか、その道筋を知るのに、「カリキュラムツリー」が役に立ちます。そして、自分の属する学部・学科のカリキュラムの全体像を知るには、教育課程編成・実施の方針である「CP」(カリキュラム・ポリシー)が役に立つでしょう。
こうしたツールを用いながら、在学期間中、先生とともに自ら問いを立てて学ぶ人=学生として、自分自身が学びたいことを探り、今自分が何を学んでいるのかを自覚して、その軸のもとに自分を育むうえで、「DP」は欠かせない参照軸になります。折に触れて、自分の学部・学科の「DP」を確認しましょう。
いろんなモノサシで自分の現状をよく知って次の一歩につなげる
在学期間中に「DP」に示された力を着実に身につけていくためには、みなさんが南山大学で学んだ成果をいろいろなモノサシで評価していく必要があります。モノサシは外から当てられるもの、評価は先生がするもの、と考えて、受動的になってしまわないように気をつけましょう。自分自身がどれくらいの量と質の学びに取り組んでいるか、という自己評価も大切です。また、現在の自分の力の状態について客観的に見てどのように評価されているのかをしっかり理解し、自分自身の課題を自覚することは、次にどのように学ぶべきかを考える道標となります。そのように、自分の力のあり方を的確にメンテナンスしていくためには、さまざまな角度からの評価=アセスメントについて、その意義を理解しておく必要があります。何年次のどのタイミングでどんなモノサシで何を評価するのかを明確に示したのが「アセスメントプラン」です。「DP」と同じく、折に触れて、自分の学部・学科の「アセスメントプラン」を確認しましょう。
南山生のアセスメントには、どんなモノサシがあるか?
南山大学で学ぶ学生のみなさんの学修成果は、まず、受講した個々の授業のなかでの成績評価によって把握されます。しかし、先ほどから繰り返し述べているように、大学は知の最前線です。授業の中で学んだことは、授業の中でテストされたことだけに留まりません。大学は知の最前線ですから、大学での授業を通じて習得した力は、社会のさまざまな場面で通用する力と結びついていますが、授業内での成績評価だけではそれははっきりと見えません。
そこで、成績評価とは別のモノサシとして、思考力、姿勢・態度、経験の3つの軸での力を独自の指標により測定するアセスメントテスト(GPS-Academic)を使います。これによって、授業を通じて習得した力と社会で通用する力との結びつきを明確にして、「DP」に示される力の修得状況を成績評価とは異なる観点から評価=アセスメントします。このアセスメントテストは、学生のみなさん一人ひとりの力の状態を把握するためのものであり、大切なのは、大学で学ぶなかで、みなさん自身がどのように変化したかを捉えることです。そうした変化を知るために、1年次、3年次、4年次の3回、アセスメントテストを実施します。その結果を手がかりに、指導教員の先生たちと相談しながら、これからどのように学び、自分を育んでいくのかを考えることができるのです。
他方で、授業でしっかりと学ぶには、予習や復習が必要なのは言うまでもなく、そこで学んだことを自分で発展させてさらに深く広く学んでいくことも必要です。継続的に学ぶ習慣がどれほど身についているかを評価するには、自分自身が普段どれくらいの時間をどのような学びの時間に当てていて、自分がどれくらいの力を身につけたと思うのかを自分自身で評価してみることが重要です。自分の今のカタチを自分の感覚で捉える力もまた、大学という知の最前線で養われるべき力だからです。そのために、毎年、学修行動調査と学修到達度調査をすべての学生に対して実施します。この調査に応えることで、しっかりと自分の足元を見直す機会にしましょう。
同時に、受けている授業がどのような点で評価できるかを把握すべく、クォーターごとに授業評価アンケートを実施します。このアンケートを通じて、授業を担当する先生が、自分の授業の改善の手がかりを得ることが一つの大きな目的ですが、他方で、学生のみなさんが、その授業の到達目標に掲げられた力を身につけているという実感を得られているかを自身で評価することも同じく大きな目的となっています。さらに、授業評価アンケートに回答することは、自分の受けている授業について的確な鑑識眼をもって評価=アセスメントできているかを学生のみなさんに自覚してもらう機会でもあります。他者を評価するのはとても高度なことでありながら、集団の中に生きる私たちにとっては避けて通ることのできない営みです。そうした高度な作業を経験することで、自分を育むことができるのです。
学生のみなさんがどのような学びを重ね、どのような人として卒業していくのかは、みなさん自身のカタチをつくっていくだけでなく、南山大学のカタチをもつくっていくことにつながります。そうして育むみなさん一人ひとりのNANZAN Mindが、今後南山大学に入学してくる後輩たちへの財産になります。日々の時間を大切に、それぞれ自分を育みながら、みなさんに関わるすべての人たちとともに南山大学という学び舎を育んでいきましょう。