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カトリック文庫講座「浦上のキリシタン、髙木仙右衛門のこと-明治政府は、なぜキリシタン禁制高札を撤去したか-」
2021年12月14日
去る11⽉20⽇(⼟)、80代半ばの今なお精力的にターミナルケア・グリーフケアの活動をされている髙木慶子氏をお迎えして、第6回となるカトリック⽂庫講座を開催しました。
髙木氏は、日本におけるキリシタン最後の迫害である長崎浦上の「四番崩れ」で名を知られる髙木仙右衛門の曾孫にあたります。仙右衛門は、明治政府のキリシタン弾圧により慶応4(1868)年6月津和野に流されますが、6年間におよぶ飢えと寒さと凄惨な拷問をしのぎ、耐えかねた信者が次々と棄教する中、ただひとり信仰を守り抜きました。そして明治6(1873)年、約260年にわたるキリシタン禁教令が廃止された後、仙右衛門は信仰を堅持したまま浦上に戻ることを許されます。
「四番崩れ」は、幕末から明治維新にかけての特筆すべき歴史的事件です。その拷問の苛烈さが喧伝され、悲惨な面ばかりが強調されてきましたが、信仰の深さと広さを世界に知らしめる貴重な機会でもありました。ただひとり信仰を守りぬいた仙右衛門の存在が、キリシタン禁制高札撤去の一因であったのではないか、という髙木氏のご見解を伺いました。「苦しみ、悲しみや思うにまかせないこと、そのようなことが、実は恵みなのですよ」という貴重なメッセージを受け取り、講座は盛況のうちに終了しました。
今回は、講座にあわせて、図書館所蔵の⾼札「五榜の掲示」や、長崎・平戸における潜伏キリシタン復活期の洗礼台帳である「御水帳」、髙木氏の著作などを会場内に展示しました。また、南山アーカイブズからも、図書館の所蔵よりも古い時代の「高札」を借用して展示し、皆さんに紹介する好機となりました。