図書館について 活動紹介
推薦図書トーク2024 第6回(5月14日開催)
2024年05月15日
人文学部 心理人間学科 中村 和彦 先生
『カウンセリングの実際問題』
南山大学ライネルス中央図書館では、NANTO ルームにて「推薦図書トーク(全17回シリーズ)」を開催しています。各学科の先生方から学生の皆さん宛に本を推薦していただき、その本の魅力や背景について直接語っていただく企画です。
第6回は、人文学部 心理人間学科 中村 和彦 先生に推薦図書をご紹介いただきました。
中村先生の推薦図書は、河合隼雄著『カウンセリングの実際問題』です。
ご自身がカウンセリングについて学ぶため手に取った最初の本であり、自分の原点になる本として、本書を選んでくださいました。カウンセリングについてとてもわかりやすく書かれており、学部1年生にもおすすめの1冊!とのことです。
カウンセリングを学ぼうとする人は「なにか有効なアドバイスを言わなければ」と考えてしまいがちですが、耳を傾けて「聴く」こと( hear ではなく listen)が大切だということ、本書のかなり早い段階でカウンセリングに対する批判についてもしっかり述べられていること、ドジャーズが提唱した<カウンセラーの3条件>について書かれていることなど、ご自身の大学院時代のお話も交えながら本書の魅力を語ってくださいました。
また、ご専門である組織開発論に関する本も2冊紹介してくださいました。
キャロル・S・ドゥエック著
『マインドセット ー「やればできる!」の研究』
ドゥエックは成功した人々にインタビューをした結果、それらの人々に共通項があることに気づき、それを GROWTH MINDSET と表現し、本書で説明しています。FIX MINDSET の持ち主が、自分と他者とを比較し、「どうせ私はダメだ・失敗してはいけない・(失敗すると)やっぱり私はダメだった」と考えるのに対し、GROWTH MINDSET の持ち主は、現在の自分と過去の自分を比較し、「人生は可能性に満ちている・失敗は成功のチャンス・(失敗すると)ここに自分の伸びしろがある」と柔軟でチャレンジングな考え方をした結果、成長を重ねるーーという内容について紹介され、「就活生にぜひ読んでほしい」とおっしゃっていました。
もう1冊、
バーバラ・フレドリクソン著
『ポジティブな人だけがうまくいく 3:1の法則』
は、最近流行りのポジティブアプローチについて書かれた本です。ポジティブ:ネガティブ比が 3:1の時にグループ(組織)は最も成長するということが、様々な研究のレビューの結果として書かれているそうです。ポジティブなことだけを言いあう(ポジティブ:ネガティブ比が 1:0)集団が、一時的に話が盛り上がるだけで本質的な改善に至らないことがあることから、ネガティブなことを直視できる強さが場を活き活きとさせるというお話は、経験的に誰しも納得がいく内容ではないでしょうか。
今回ご紹介いただいた本は3冊とも、大変読みやすく、人生に役立つ本です。
図書館に所蔵していますので、ぜひ手に取ってみてください。
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■今回の推薦図書
『カウンセリングの実際問題』 |
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『マインドセット : 「やればできる!」の研究』 |
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『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』 |
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次回開催は 5/16 (木) 12:50 ~ 13:20 理工学部 電子情報工学科 横山 哲郎 先生の『シンギュラリティは近い:人類が生命を超越するとき』です。
お楽しみに!